難航するMLBと選手会の労使交渉のゆくえに注目が集まる中、もう1つの気になる話題が米メディアで取り上げられている。

MLB側が、ピッチクロック(投球時間制限)などの新ルール導入をスピードアップしたいという要望を選手側に出したという。新ルールはこれまで、提案してから実際に導入するまでに1年の猶予期間を設けているが、MLBがその期間を短縮しようとしているという。

MLBは現在、マイナーリーグや提携関係のある独立リーグでさまざまな新ルールを試験的に導入している。昨季は3Aで各ベースのサイズを大きくし、2Aでは守備シフトの制限、1Aではロボット審判や15秒のピッチクロックなどが行われた。それらのルールはどれも近い将来、MLBに導入される可能性があり、MLBの希望が通れば、想定より早くメジャーに導入されるかもしれない。試合時間短縮を進めたいMLBは、ピッチクロックの導入には特に意欲的だという。

選手側からはシフトを制限すべきとの意見が出ており、こちらも早く導入されるかもしれない。シフトに泣かされることの多いヤンキースのジョイ・ギャロ内野手(28)も「外野に野手が6人いる状態で、どうやって二塁打や三塁打を打てばいいのか分からない。野球は少し修正する必要があると思う」とコメントしている。左打ちの打者にはシフトの影響が大きいため、規制されればエンゼルス大谷翔平投手(27)にも朗報となるのではないだろうか。

実際、スポーツインフォソリューションのデータによると、大谷は昨季、両リーグで6番目に多くシフトを敷かれた打者だという。シフトを敷かれた打席数は509で、全打席の約80%に当たる。最も多くシフトを敷かれたのはアスレチックスのマット・オルソン内野手(27)とブレーブスのフレディ・フリーマン内野手(32=現FA)で580打席。オルソンは全打席の86%、フリーマンは83%に当たる。メジャー全体でみるとシフトを敷く回数は毎年のように増加しており、昨季は5万9062で、2年前と比べて9672増、5年前の16年と比べると3万0932増だという。

実際のところシフト規制は打者にどれほどの影響を与えるのかは、ジ・アスレチックが2月21日付の記事で検証する記事を掲載している。昨季、マイナーリーグの2Aでは内野手は外野に入って守らない、後半戦からは内野手は二塁ベースを挟んで2人ずつの配置とすると規制しており、その結果、ゴロの打球がアウトになった率が19年に比べ1%下がったという。また引っ張った打球がアウトになったケースは、19年の12・3%に比べ、シフト規制をした昨季は8・3%となった。わずかな差かもしれないが、打者にとっては安打が1本増えるだけでも大きな差となる可能性がある。近い将来に導入されるか、注目だ。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)