メジャーリーガーは個性が強い。というより強過ぎるほどだ。見ていて飽きない理由の1つだ。

23日(日本時間24日)のヤンキース-タイガース戦。ヤンキースが1-2で迎えた6回、ジャズ・チザム内野手(28)が右中間へ12号逆転2ランを放った。ベンチに戻ると棒付きの「ぺろぺろアメ」(英語でロリポップ)がたくさん入った透明のケースを持って、テレビカメラに見せつけた。日本でいう「チュッパチャップス」の類いだ。

伏線があった。22日のタイガース戦で、緑色のアメをなめて、口から棒を出しながら二塁守備に就いていた。これに対し、アーロン・ブーン監督が「頭にくる」と不快感を示していたのだ。紳士の球団であり、安全面でも好ましくないと考えたのだ。

ここからの展開がメジャーリーグらしく、ユーモアに包まれている。23日は逆転2ランを打ったチザムについて、ブーン監督は「『ロリポップ・キッド』は今夜、大きな仕事をしてくれた。もう好きなだけロリポップを食べていい」と話した。ベンチでアメのケースをテレビカメラに掲げたシーンには「それがちょっとした恒例行事になったとしても、二塁守備に持っていかなければ問題ないよ」とお墨付きを与えた。

チザムは悪びれずに言った。「いや、我慢できなかったよ。チームメートが『ロリポップを持ってこい!』ってあおっていたんだ。みんなで楽しんでいたよ」。打席に入る時には、敵地デトロイトでヤジを受けていた。「ロリポップはどこだ」「キャンディーをなめろよ」などなど。だが「少しヤジを飛ばされるのは好きなんだ」と心が乱されることなく、本塁打を打つのだから、格好いいことこの上ない。

時を同じくして、ジャイアンツのラファエル・ディバース内野手(29)も監督との対話が話題になった。

21日マーリンズ戦で1点ビハインドの9回表、先頭打者として四球で出塁した。今季0盗塁。2日前には太もも裏に問題があると、首脳陣に伝えていた。誰しもが当然の交代だと思ったが、ディバースが一塁に近づいてきた俊足の代走ジョナ・コックス(24)に対し「あっち行け、しっし」とばかりに、下向きにした左手を何度も振った。既に交代が告げられた後だけに、取り消されるはずもなく、最終的にはしぶしぶと交代を受け入れた。

これが公然とビテロ監督に反旗を翻したとして、メディアから批判を受けていた。

23日になって、ディバースが釈明した。「2日前に私はハムストリングに問題があると監督に伝えていて、試合から下げられた理由がそのことだと思った。だから(足はもう大丈夫なので)私は交代したくなかった。ただ、少し大げさに受け取られてしまった。私は謝罪した」。遠征先のマイアミからサンフランシスコまで帰る航空機の機内で、監督と話し合ったという。

ビテロ監督は、大学野球の監督から、全くプロ経験がないままメジャーの監督に就任した、初の人物だ。ただでさえ「なめられるのではないか」という危惧がささやかれていた。

同監督は、スター選手であるディバースから先に、歩み寄ってきた姿勢を評価した。「それは必要なことだった。私たちは話し合いをしなければならなかったが、とても良い話し合いだった。これから先はもう問題としない」と、代走拒否問題を水に流した。

自己主張の強い選手は、見ていて面白い。雨降って地固まるとなるのか、今後も注目したい。【斎藤直樹】

(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「斎藤直樹のメジャーよもやま話」)