MLBが新型コロナウイルス対策に追われている。現地9日、MLBはプロバスケットボールNBA、プロアイスホッケーNHL、メジャーリーグサッカー(MLS)と共同で新型コロナウイルス感染防止策に関する声明を発表した。

その対策の骨子は試合前後のメディアによるロッカールームの出入りを制限し、取材はロッカールーム外の指定された場所で行うというもの。さらに取材の際は、記者らが選手と6フィート(約1・83メートル)の距離を取らなければならないともされ、10日から適用されるとした。

その一方で試合はスケジュール通りに開催し、無観客試合にもしないという点で一致したものになっていたのである。

ただアメリカは今、日本を超える勢いで感染者が増加している状況にある。11日時点で感染者は41の州で1209人に達し、死者も少なくとも37人出ている状況だ。4つのプロリーグによる共同声明はアメリカとしては異例で、それだけ真摯に新型コロナウイルス感染拡大に向き合っていると示したかったのだろうが、一方で興行優先という印象を抱いたのも事実である。日本でプロ野球やJリーグが開催を延期している状況を考えると生ぬるいと感じた。

実際、わずか2日後にはさらなる対応を迫られることとなった。マリナーズが本拠地シアトルでの開幕をほぼ断念することになったのである。

シアトルが位置するワシントン州はアメリカで最も感染者が多く、335人の感染が判明し、死者は29人に達している。これ以上の感染拡大を防ぐため11日、ジェイ・インスリー州知事はシアトル市内のほぼ全域で250人を超える集会とイベントの禁止を発表したのだ。

マリナーズは今月26日から本拠地Tモバイルパークでレンジャーズとの開幕4連戦を、さらに30日から4月1日まではツインズと3連戦を予定していた。

ただこの禁止策を受け、マリナーズのオーナー、ジョン・スタントン氏はアリゾナ州ピオリアにあるチームのスプリングトレーニング施設で少なくとも3月末までのホームゲームを他所に移動させる意向を表明した。「シアトルで無観客のスタジアムで開催する選択肢もありますし、対戦相手のホームパーク、今回の場合レンジャーズとツインズでプレーする選択肢もあると思います。またはピオリアの中立スタジアムで開催する可能性もあります」としたが、シアトルでの無観客試合の可能性は低いともした。

現在、コミッショナーのオフィスと代替計画を練っている最中だとし、どこで開催することになるか早期の決定を待っているという。

ニューヨークやカリフォルニアでも感染者は増えており、MLBはこれからも対策を求められる可能性は高い。