スポーツ専門局ESPNは現地16日、現在フリーエージェントとなっており、15日に裁判で衝撃的な証言をしたマット・ハービー投手が契約を得たとしても出場停止になるだろうと報じた。
裁判とは2019年7月に元エンゼルスのタイラー・スカッグス投手が遠征先のホテルで急死した事件に関するもの。スカッグス投手の遺体からは鎮静薬の「フェンタニル」と鎮痛剤・鎮静剤「オキシコドン」、アルコールが検出され、自身の嘔吐(おうと)物によって窒息したことが明らかになっている。これらの薬物が元球団広報部長のエリク・ケイ氏が配布し、スカッグス投手の薬物関連死を引き起こしたとして重罪に問われているのだ。
ハービーはロッキーズのC・J・クロン一塁手、マイケル・モリン元投手、キャム・ベドロジャン投手、ブレイク・パーカー投手と共に証言に立った。ハービーは17年まで在籍していたメッツ時代からコカインを常用していたことを認め、エンゼルスに所属していた19年にはコカインとオキシコドンに加え鎮痛剤のペルコセットを入手し、スカッグス投手にいくつか渡したことを認めたという。他の3人は自身の薬物使用について認めたものの、他の誰かに薬物を渡したことがあるとは証言しなかった。
またパーカーを除く選手たちはスカッグス投手がケイ氏を紹介し、彼からオキシコドンを手に入れられると聞いたと証言。パーカーは誰からケイ氏を紹介されたか思い出せないと話している。さらにケイ氏が時々ロッカーに薬を置いていったこと、クラブハウスで薬を吸引したり摂取したりしたと説明したということだ。
ハービーたちは証言に対し、免責を受けているため、虚偽の証言をしない限り薬物使用を認めても刑事訴追されることはない。
一方でESPNは、ハービーに関してはMLBの薬物規定における「配布」に該当するとして、新たなチームと契約しても直ちに少なくとも60日間の出場停止処分を受ける可能性がある、との匿名のリーグ関係者のコメントを報じている。
薬物規定では以前に乱用薬物に関する政策に違反したことがない限り、出場停止処分を受けることはない。身体強化薬の使用で捕まる選手とは異なり、オピオイドやコカインなどの乱用薬物を使用した選手は、初犯の場合、評価治療委員会に照会され、違反は公表されない。その上で治療委員会が治療計画を立て、選手はそれに従わなければならない。ハービーは一段違反の度合いが重いということだ。
ただし、MLBは選手会と新たな労使協定を結ぶまではどんな措置も取ることができないのだが。
労使交渉の停滞がこんなところにも影響するのかと思いつつも、薬物に頼る選手たちの問題があらわになったことの衝撃は計り知れないものがある。




