ワールドシリーズ第5戦は10月30日(日本時間同31日)、カブス(ナ・リーグ)がインディアンス(ア・リーグ)に逆転勝ちを収め、対戦成績を2勝3敗として土俵際で踏みとどまった。知将ジョー・マドン監督(62)の執念采配で1点差勝ち。カ軍にとって、本拠地リグリーフィールドでは1945年以来、71年ぶりの勝利となった。

 崖っぷちの一戦。3-2と1点リードで迎えた7回表1死二塁。ベンチを出たマドン監督は、球審に「ピッチャー、チャプマン」を告げた。「普通、公式戦ではやらない。ただ、彼も分かっていたし、我々はすべてをかけたんだ」。スタンドを埋めた地元ファンの声援を背に、快速クローザーは最速102マイル(約164キロ)の速球を主体にピンチを脱出。続く8、9回も続投し、任された「8アウト」を無失点4奪三振で締めくくった。

 奇策でもなければ、思いつきでもなかった。勝てば、翌日は移動日。第6戦以降も登板可能と読み、試合前、マドン監督はチャプマンに打診していた。「7回からは可能か」。キューバ出身の28歳左腕は即答した。「準備はできている。必要とするなら、どんな長い回も投げるつもりだ」。7月末、ヤンキースからトレード移籍した理由こそ、この大舞台の正念場で投げることだった。

 依然として不利な状況とはいえ、低迷打線が集中打で逆転。気配は変わった。「この試合でいい流れになったと信じたいね」。敵地へ乗り込むマドン監督は、ニヤリと笑った。(シカゴ=四竈衛)