日米通算28年目、メジャー19年目を迎えるマリナーズのイチロー外野手(45)が、同地のキャンプ施設に姿を見せ、驚異の肉体を披露した。野手組の集合日。メディカルチェックを受けた後、半袖短パン姿でグラウンドに登場すると、アップ、ケージ内打撃、キャッチボールなど、約50分間にわたって汗を流した。

現役最年長野手の動きは、45歳の一般的なイメージとは、かけ離れていた。両足がほぼ180度まで開く柔軟体操、投手のような遠投、衰え知らずの快足…。年齢を感じさせない肉体は、数字でも証明された。細身の選手が多いメジャーの外野手の脂肪率は平均で約10%。ところが、この日の検査で、イチローはチームでベストであることが明らかになった。

マ軍関係者によると、これまでは「7・2~7・4」の間だった。今回は具体的な数字こそ公表されなかったが、「7・2」よりも少ないことが判明したのだ。つまり、過去最も絞り込んでキャンプインしたことになる。19年前の入団時からイチローの体を見てきたトレーニング部門のリック・グリフィンSD(シニア・ディレクター)は「イチの体は以前と変わっていない。信じられない」と驚きを隠そうとしなかった。

3月20、21日に日本(東京ドーム)で行われる開幕2連戦でスタメン出場する可能性も、現実味を帯びてきた。今オフ、レイズからトレードで移籍し、正中堅手候補に挙げられるマレックス・スミスが右ヒジ痛で離脱。16日(同17日)からの全体キャンプでは、完全別メニューで調整することが明らかになった。マ軍首脳陣は調整ペースをスローダウンさせる方針を明かしており、スミスの復帰が遅れるようであれば、イチローのチャンスも大きく膨らんでくる。

大ベテランとはいえ、招待選手の立場に変わりはなく、21日(同22日)からのオープン戦では結果を求められる。キャンプイン後に契約した昨季は、途中参加だったが、今年は万全。常識を覆すイチローのチャレンジが、満を持してスタートする。(ピオリア=四竈衛)