カブス・ダルビッシュ有投手(34)は、またしても世界一の夢には届かなかった。2日(日本時間3日)、マーリンズとのワイルドカードシリーズ第2戦に先発。7回途中5安打2失点と奮投したが、打線の援護がなく完封負けを喫した。チームは初戦から2連敗を喫し、ポストシーズン(PS)第1ラウンドで敗退。好投を重ねた20年シーズンを終えた右腕は、進化を誓い、さらなる高みを目指していく。

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公式戦60試合+PS2試合。ダルビッシュのメジャー9年目は、あまりにもあっけなく終わった。7回途中まで踏ん張ったものの、味方打線が沈黙。世界一の夢は、またもついえた。だが、快投を演じ続けた2020年は、右腕にとって貴重なステップとなる1年だった。

今季は、これまでとは別次元の領域に足を踏み入れた。スライダー、カーブ、チェンジアップを随時改良。ツーシームにも磨きをかけた。結果、日本人初の最多勝となる8勝を挙げ、防御率2・01(リーグ2位)、93奪三振(同4位)と文句なしの成績を残した。「数字を見れば、どの投手ともある程度は張り合えるくらいの数字はあったと思います。トップレベルが見える、その位置の近くに来られたとは思ってます」。

もっとも、自信は持っても過信はない。サイ・ヤング賞の複数回受賞者でもあるデグロム(メッツ)、カーショー(ドジャース)、バーランダー(アストロズ)の名前を挙げ、まだ発展途上であると客観的に自己分析した。

「あの辺りとの差が、自分の中ではまだ遠いかなと、すごく思います」。

11種類とも言われる多彩な変化球を自在に操るダルビッシュの技術は、メジャーでも最高レベルとして認知されてきた。だが本人にすれば、剛腕投手との間に、速球系の格差を感じている。

「天賦の才に対して、頭でどうやって勝つか。頭でどうやって近づけるか。真っすぐ系に改善の余地がいっぱいあるのは分かってますから、そこですね」。

現時点で、最速98マイル(約158キロ)の速球を持ちながらも、スピン効率などを含め、まだ伸びしろがあるという。その過程で新たな視界も広がった。

「この状態では張り合えない。もっと良くなるために、何が自分に必要か。ただ、達成するためにどうすればいいか、まだ答えは出ていない。もうちょっとレベルを上げられると思っています」。

60試合での8勝は、162試合に換算すると21勝以上。34歳にして、なお進化を続けるダルビッシュに、限界点は見えてこない。【四竈衛】

◆サイ・ヤング賞 ダルビッシュが有力候補に挙がるサイ・ヤング賞は、例年11月中旬に発表される。同賞はメジャー歴代1位の通算511勝を挙げたサイ・ヤングの功績をたたえて創設。全米野球記者協会に所属する各リーグ30人の記者の記名投票で、救援を含む年間最優秀投手を選出する。投票はポストシーズン開始前に実施。元ヤンキースのクレメンスが最多7度受賞。13年には当時レンジャーズのダルビッシュが2位、マリナーズ岩隈(現巨人)が3位に入った。