ドジャース大谷翔平投手(29)が長打の固め打ちで持ち味を発揮した。

ナショナルズ戦に「2番DH」で出場し、6打数3安打2打点。3本全て二塁打で、9回の第6打席は左中間フェンス直撃の大飛球を放った。惜しくも3戦連発はならなかったが、4月だけで12本の二塁打と22年9月の自己最多9本を一気に更新する二塁打の量産ぶり。二塁打以外でも打率、安打、長打、塁打、長打率、OPS(出塁率+長打率)の打撃7部門でリーグトップをキープ。チームの3連勝に貢献した。

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過去最高の感触に浸るはずもない。もっと上へ。大谷が第1打席で再びすさまじい打球を放った。1回1死、右腕アービンの高め96・7マイル(約157キロ)の直球をはじき返した。115・6マイル(約186キロ)の強烈なライナーで右中間を破る二塁打。今季、ここまで捉え損ねてきた高めの速球を完璧に打ち砕いた。

前日、9回の第5打席で118・7マイル(約191キロ)の自己最速アーチをマーク。大谷はこの日の試合前、「感覚的にも人生の中でトップクラス」と振り返り、さらに言った。

「段階は進んでいるとは思いますね。それは(レベルが)上に行けば行くほど、伸び率みたいなものは当然下がって来るとは思いますけど、細かい部分というのは、ちょっとずつ上がってくるものだと思う」

昨年、日本人初となるリーグ本塁打王を獲得。前日は自己最速アーチを放った。限界値の天井はない。日をまたいでだが、115マイル(約185キロ)以上の打球速度を2打席連続でマークしたのはメジャー7年目で初。ロバーツ監督からは「彼は別格。打球が違う」と称賛された。リーグ断トツの14二塁打に加え、打率3割7分1厘、39安打など打撃7部門でトップをキープした。

能力が傑出していることは言うまでもなく、勝つ集団の中で刺激を受ける毎日でもある。「新しいチームに来て、新しい打線の中に入っているので、あまり自分の状態がどうのこうの気にしている余裕が今のところないかなと。本当に勉強の途中」。安打数では2位ベッツと1本差。屈指のエリート打者同士の相乗効果も、自然と生まれている。

首脳陣との毎日の意見交換も好結果につながった。ロバーツ監督から得点圏の打席で必要以上にストライクゾーンを広げていると指摘され、好球必打を見直した。「監督とはアプローチのことで話して、もちろん納得する部分もありますし、早い段階で対策を打つことで今後もプレーしやすくなるという話はしていたので、お互いゲームを作る上でかみ合っていければ」。得点圏で19打数1安打だった成績は、その後6打数4安打と劇的に改善された。

チームは20安打11得点で3連勝。1週間前、同じ先発右腕アービンから6回無失点に抑えられたが、この日は12安打6得点を奪い、打ち崩した。ロバーツ監督は「2回目で彼がどういうボールを投げるか、我々は分かっていた」と勝因を挙げた。その1安打目は大谷。間違いなく今、強いド軍の中心にいる。

▼大谷の3二塁打はメジャーで初めて。26試合で14二塁打はシーズン87本ペース。自身最多は22年の30。球団記録は23年フリーマンの59本で、MLBのシーズン記録は1931年のアール・ウェブ(レッドソックス)の67本。

▼大谷は6打数3安打で打率、安打、二塁打、長打、塁打、長打率、OPS(出塁率+長打率)の7部門で両リーグトップをキープした。MLBのラングス記者によると、1つのチームで最初の26試合に長打21本(二塁打14、三塁打1、本塁打6)は1901年以降、19年ビシェット(ブルージェイズ)以来5年ぶり6人目。

▼大谷が第1打席で放った右中間二塁打は、打球速度が115・6マイル(約186キロ)。計測開始の15年以降、球団では3番目に速い安打となった。1位は前日の6号本塁打で、2位は3月31日の二塁打と上位を大谷が独占。2試合連続で115マイル(約185キロ)以上は、スタントン(4度)ジャッジ(1度)のヤンキースコンビに次いで史上3人目。