【トロント(カナダ・オンタリオ州)24日(日本時間25日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(31)が、ワールドシリーズ(WS)で初本塁打を放った。敵地で開幕したブルージェイズとの第1戦に「1番DH」で出場し、4打数1安打。7回の第4打席で右越えの2ランをマークした。チームは先発ブレーク・スネル投手(32)が6回途中8安打5失点でポストシーズン初黒星。救援陣も捕まり、6回に1イニング9失点というWS史上ワースト3位の不名誉記録で大敗した。第2戦は、山本由伸投手(27)が先発する。
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大量点で興奮状態の敵地を黙らせる大谷の一撃が、右翼スタンドで弾んだ。7回に右腕フィッシャーのカーブに食らいつき、フォロースルーで片手1本になりながら、力強くバットに乗せた。9点ビハインドからの2ラン。静寂の中、表情を変えず、ダイヤモンドを回った。打球の行方を見ていた一塁走者エドマンを追い抜くような勢いで走った。何かを変える、その気持ちの表れのようだった。
各打席で、大ブーイングを浴びせられた。満員の敵地ファンの雑音も野球への情熱と受け取る大谷は、試合前から笑顔が目立った。だが、第1打席は22歳の新星右腕イエサベージに対して空振り三振。1回の先頭打者とは思えない、まるで勝ちパターンの展開で終盤の1アウトを取った時のような大歓声が起こった。大谷が三振をしただけで、抱き合うファンもいるほどの熱狂ぶりだった。
まさかの大合唱も自然発生した。9回の第5打席、通常は「Let's go Blue Jays!!(さぁ行こう、ブルージェイズ!)」の応援が、「We don't need you!!(君は必要ない!)」に変わった。23年のFA交渉で最終候補まで残ったブ軍だったが、大谷は最終的にドジャースを選択。当時のうっぷんを晴らすかのようなヤジが飛んだ。ブ軍のシュナイダー監督は、「特別な選手だし、彼のような選手について語るのは難しい。でも、ファンが情熱を注いでくれているのはうれしい」とコメント。打倒ドジャース、打倒大谷のエネルギーがスタジアムに充満していた。
先制してなお2回2死満塁、第2打席を迎えた大谷は一ゴロで追加点を奪えなかったが、完全アウェーの雰囲気にのまれないのが大谷の強みでもある。第4打席で自身WS初の本塁打で一矢報い、ロバーツ監督は「ホームランは良かった。満塁の場面で彼に期待したが、イエサべージがスプリットをいいところに投げた。だが、ショウヘイは大丈夫だ」と前向きに振り返った。統計上、初戦黒星のチームがWS優勝を決める確率は35・2%。可能性はまだ十分ある。第2戦、エース右腕山本に託す。



