ドジャース大谷翔平投手(31)が4打数4安打2本塁打、4敬遠1四球と合わせて9打席全てで出塁した。大活躍の予感を、斎藤庸裕記者がコラム「Nobu's Eye」で迫った。
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大谷は、とにかく楽しそうだった。5回、適時二塁打で1点差に詰め寄った。ベース上で大きく口を開け、両手を下から上に振り上げるようにチームを鼓舞。大舞台になればなるほど、アドレナリンが出て気迫が前面に出る。ただ、この時は鬼気迫るような表情ではなかった。むしろ、笑っていたように見えた。
打ちまくる、爆発の予感はあった。前日の記者会見。敵地カナダ・トロントで「We don't need you(あなたは私たちには必要ない)」の痛烈な大合唱を浴びたことについて問われると、真美子夫人にいじられたことを明かした。さらに「家庭内ではね、言われないように努めたい」と爆笑を誘った。大谷のメジャー挑戦から取材を続けて8年目。ユーモアたっぷりの切り返しは何度もあったが、試合後の囲みや会見で、これほどまでに笑わせられたのは記憶にない。裏を返せば“絶口調”の時はそれなりの余裕もあるということ。つまり、野球を楽しめている証拠だった。
大谷がメディアの前で表情を崩すことは珍しく、基本的には冷静な口ぶりが目立つ。体の状態が万全ではない時や打撃不振などで苦しんでいる状況で、記者を笑わせるようなことはまずない。そもそも、大谷自身の笑顔も少ない。かつて、投打で不振を極めていた時には「楽しむも何も、楽しむためにはやっぱり自分のパフォーマンスを出せる状態、っていうのが一番」と言っていた。
今シリーズでは、第1戦の試合前から笑顔が目立った。両チームの選手紹介で敵地の強烈な大ブーイングとともに名前をアナウンスされた。そのときも、満面の笑みだった。健康な状態でプレーできることに感謝し、楽しみでならない。そんな姿に見えた。WS第3戦までで、12打数6安打3本塁打。真美子夫人や第1子の長女が誕生し、私生活が充実していることも大きいだろう。ピリピリ感というより、表情はどこか柔らかい。野球を楽しみ、スマイルあふれる大谷がいる限り、勢いは続く。



