早大が、慶大に競り勝ち、2季連続45度目の優勝を飾った。巨人から2位指名を受けた「スピードスター」1番重信慎之介外野手(4年=早実)は、巨人高橋由伸監督(40)が見守る前で2安打を放ち、打率4割3分2厘で首位打者を獲得。早大の春秋連覇は8年ぶりで、優勝回数で並んでいた法大を抜き、リーグ単独1位になった。今春は全日本大学野球選手権で日本一に輝き、6大学史上初の「4冠」に向けて、明治神宮大会(13日開幕)に出場する。

 春秋連覇を告げるウイニングボールは、吸い込まれるようにニューヒーローのもとに飛んだ。西日を浴びた重信は「まぶしくて、ヒヤッとしました」と苦笑いを浮かべて、すぐに両手を突き上げる。50メートル走5秒7の俊足を飛ばし、マウンド上にできた歓喜の輪に、一番後から飛び込んだ。

 首位打者を懸けた重圧を、いとも簡単にはじき返した。3回に中前打、5回は外角直球を左翼線に運ぶ二塁打で、チャンスをつくった。首位打者に加え、7盗塁は1位タイで、ベストナインにも選出された。

 記録ずくめのシーズン最終戦。巨人高橋監督が観戦したことは、試合後に知った。「最低限の仕事はできたと思いますが、見ていただくなら1つは盗塁がしたかった」と言った。あこがれの早大OB、ジャイアンツ青木はテレビ解説で神宮を訪れた。173センチと小柄な重信は、青木の大学時代の体形と自身を重ね、4年間の全打席を寮に保存されるVTRでチェック。逆方向に強い打球を打ち返す、現在の打撃にたどり着いた。

 第7週で、明大が法大から勝ち点を挙げれば、早大の優勝はなかった。重信は「『棚からぼた餅』と言われましたが、ぼた餅は食べないと意味がない。まだ半分食べたところ」と笑った。残り半分のぼた餅、6大学初の「4冠」に向けて、明治神宮大会というタイトルをペロリといただく。【前田祐輔】