侍ジャパンの1番はイチロー超えのヒットメーカーだ。秋山翔吾外野手(27)がプレミア12に向けた強化試合初戦のプエルトリコ戦で1番中堅手で出場。3回1死二塁で右翼席へ弾丸ライナーで先制2ランを運んだ。WBC2連覇時はイチローが日本の1番を担ったが、今季シーズン最多安打の216安打を樹立した“安打侍”が継承する。
初見の相手でも打つ。国際試合での鉄則を秋山が実行した。3回1死二塁。嶋の二盗のアシストを受け、進塁打よりも得点への比重を高める。相手の陣形が三遊間を狭めていることを確認し、今季基本形の流し打ちの意識を捨てた。2回まで味方が4連続三振と苦しめられ、自身も1打席目に凡退させられたサンティアゴのチェンジアップに反応。日本の多士済々な投手から216安打を放ったバットコントロールから一太刀を浴びせ、打球は右翼テラス席に飛び込んだ。1番秋山が突破口を切り開いた。
「嶋さんが盗塁してくれて自分は打つことに集中できた」。国際仕様に仕上げてきた。直前の若手主体のフェニックスリーグでは早打ちをテーマに掲げた。「若くて普段、見ない投手と対戦するのは国際試合でもある。打ち取られる前に何とか打つ。貴重な時間でした」。2-1からの仕掛けで雌雄を決した。
プレミア12に向けた初陣で1番に指名された。本来は2番構想。1番山田、3番柳田のトリプルスリーにサンドされる予定だったが柳田の故障辞退で定位置が与えられた。「シーズンと同じ打順。やることが変わらないのはありがたい」と自然なリズムが心地よい。
WBC連覇時は、打線の先鋒(せんぽう)にはイチローの姿があった。秋山も名もなきころから背中を見てきた。WBC全3大会のDVDをそのつど、買い集めてきた。「06年はアマチュア選手として見ていた。すごい緊張感を持って戦っているんだなと感じた。こういうのが残るのなら恥ずかしいプレーはできない。見ることで少しでもモチベーションとしてプラスになればと」。世界舞台に立つ日が現実となった。
小久保監督も「最初の打席でやられた球を仕留めた。さすが日本記録保持者」と“安打侍”をたたえた。日本の1番にはイチローがいた。その男が日本で残した210安打を超えた秋山が、継承者にふさわしい。【広重竜太郎】
◆WBC日本の1番打者 06年の第1回大会は初戦から2次リーグまで6試合がイチロー。準決勝が青木、決勝が川崎でイチローは3番に。イチローは全8試合で安打を放つなど通算打率3割6分4厘、1本塁打、5打点、4盗塁。09年の第2回は全9試合務め、通算打率2割7分3厘も、決勝の韓国戦で延長10回に勝ち越し中前打を放つなど、6打数4安打で連覇を引き寄せた。通算12安打は青木、セペダ(キューバ)と並んで大会トップだった。13年の第3回は坂本→長野→角中→鳥谷→長野→鳥谷と固定できず、V3を逃した。



