人がミスするのは、どういう時やと思います?

先日、雨上がり決死隊の宮迫、ロンドンブーツ1号・2号の亮が闇営業問題に関する謝罪会見をした。

ギャラをもらったのに、もらってないとウソをついた。良心の呵責(かしゃく)から「謝罪会見」を所属の吉本興業に頼んだら、岡本社長に拒否され、ついには契約解除されたとか。その経緯を明かしたから、今度は闇営業から話が飛んで、吉本興業の隠蔽(いんぺい)工作疑惑という大問題に発展してしもた。

ウソがあかんいうことは、宮迫や亮の最初の隠蔽で明らかやったのに、ウソの上塗りに走った。「愚かやな」と誰もが思いますわな。事態が表面化した時、2人に先輩芸人たちが告白を諭した。きっと、それが最善の処し方です。岡本社長も平常時、冷静な時やったら、そんな愚は犯さんかったんちゃいますかね。組織を守る意識とかが先走ってしもたんかな-。

人は追い詰められたら、ミスをする。

7月12日、エディオンアリーナ大阪で6度目の防衛に成功したWBC世界ライトフライ級王者拳四朗は、ミスをせんかった。

会心の右カウンターで、4回1分ジャストTKO勝利を飾ったけど、試合後に「強かったッスよ。パンチあったし、何発かもらった」と苦笑いした。ニュアンスとしては、対戦相手の同級1位タコニンは7度の世界戦で最強-。そんな話しぶり。タコニンは距離をつぶそうと強引に飛び込んできた。ハードパンチャーの上、サウスポーの嫌らしさもあった。実際、1回は2、3度懐に入られて、横に回ってしのげず、後退する場面があった。その展開が続くようなら、正直危ない展開はあり得たと思う。

それでも、きっちり勝った。自分の生命線「左ジャブを生かした距離感」を信じ、貫いてTKOした。要するに、慌てず、怖さに対応し、克服したわけです。

拳四朗は「距離感は、より自信がついたかなと思う」と言い、父親でもあるBMBジムの寺地永会長は「打ち負けなかったですね。これまではもっと下がる場面もあったけど。終わってみたら、パンチのパワーも回転も勝ってた。特に回転で勝ったんは、想定外でした」と喜んでた。

拳四朗の目標は、具志堅用高さんがWBA世界ライトフライ級王者として記録した「13連続防衛」の日本記録。まだ半分にも届いてへんけど、ひょっとして…と思わせるムードが出てきたんちゃうかな。

追い詰められてもミスせんかった。山を1つ越えて、たくましくなった。

【加藤裕一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

タコニンをTKOで破り6度目の防衛を果たした拳四朗はチャンピオンベルトを指さし笑顔を見せる(2019年7月12日撮影)
タコニンをTKOで破り6度目の防衛を果たした拳四朗はチャンピオンベルトを指さし笑顔を見せる(2019年7月12日撮影)