プロレス界でも新型コロナウイルスへの対応が続く。ここ2週間の関連取材の中で最も印象に残っているのが、リアルジャパン新間寿会長(84)の言葉だ。

かつて猪木-アリの異種格闘技戦を実現させ、昭和プロレスの“過激な仕掛け人”と呼ばれた新間氏は2月26日、都内で行われた3月19日後楽園大会に向けた会見で「どんなことがあっても興行はやります!選手たちの熱い思いでもって、コロナウイルスなんかふっとばす!大和魂ここにあり!」と堂々と試合決行を宣言した。

会見直前、政府から2週間のイベント自粛要請が出ていた。3・19は、その2週間の後だが、それでも、このタイミングでの「何がなんでもやる」という発言は批判を浴びかねない。何が悪いと言わんばかりの新間会長の態度に驚くとともに、持ち前の過激さを感じさせられた。 それから約1週間。新日本、ノアなど他のプロレス団体が大会延期、中止を決めたり、ライブを決行したアーティストが批判を浴びるなどスポーツ、エンターテインメント業界ではさまざまな動きがある。それでもなお、新間会長の思いは変わらないのか。あらためて聞いてみた。 新間会長は「何がなんでもやりますよ!」と張りのある声で第一声。「非常時にしゅん、としてどうする。日本人は心を1つにして、相手に向かわないといけない」と会見時と変わらぬ主張を語った。さらに「コロナに負けない体を」と日課である腹筋ローラー300~400回の運動を続けていると熱弁した。 会見後には批判の声もあった。「興行の中でウイルス感染者が出たらどうするんだ、と言ってくる人もいた。でもそんな仮定の話、これから起こりうる話をしても仕方がない」。リアルジャパンでは既に配布用のマスクや消毒液などを準備。「会見後、九州など遠方から行くとわざわざ連絡をくれる方もいた。来てくれる方が喜ぶために。万全の準備をする」と感染対策に努める。 現段階で2週間の期間後のイベント開催について政府の見解は出ていない。「それが出たらその時、考える。ただ、1度決めたからにはどうにかしてやりたい」と新間氏の決行の意志は固い。当日はパーキンソン病の疑いで闘病中の初代タイガーマスク、佐山サトル(62)も来場する予定だ。 【高場泉穂】