迷うことがあれば、思い浮かべるのは2人の師匠。栃錦、栃ノ海の先々代と先代親方が出てくる。「2人ならこう言うだろう、こうやるだろうというのが1つの指導書、教科書。だから、無駄に見えることでも、きちんと教えないといけないことはやる。よく、学生出身らしくないと言われるよ」と春日野親方(53=元関脇栃乃和歌)は笑った。

 「オヤジ」と呼ぶ元理事長の栃錦には常に「力士は力の紳士たれ」と教わった。部屋を1歩出れば必ず、浴衣か着物を羽織る。派手な色も許されず、さわやかな緑の若竹色で夏の着物をつくったときは「どこのちんどん屋さんだ」と言われて、1度着ただけで手放した。「ただ相撲が強いだけじゃダメだ。上に行けば行くほど、と言われた。よく怒られた」と懐かしんだ。

 相撲人気の回復を「力士の努力のおかげ」という。ただ、広報部長の就任会見で現役力士のテレビ出演に「バラエティーよりは力士らしさを前面に出したい」と話したのも、自らの「教科書」に倣ってのこと。「先々代や先代よりは柔軟な頭があると思う(笑い)。でも『力士たるものは…』という思いは、どこかにはあるなぁ」。【今村健人】

 ◆春日野清隆(かすがの・きよたか)元関脇栃乃和歌。本名・綛田(かせだ)清隆。1962年(昭37)5月22日、和歌山県海南市生まれ。箕島高-明大。85年春初土俵。99年名古屋を最後に引退し、03年2月から「春日野」襲名。通算588勝621敗24休。