ボクシングWBO世界スーパーフェザー級2位伊藤雅雪(27=伴流)が28日(日本時間29日)、米フロリダ州キシミーで同級王座決定戦に挑む。
拳を交えるのは同級1位クリストファー・ディアス(23=プエルトリコ)で、5年のプロキャリアで23戦全勝(15KO)というホープだ。初世界戦が海外試合となった伊藤は「オッズをつけるとしたら7対3か6・5対3・5でボクが不利」と劣勢であることを認めつつ「ダラダラやるつもりはない。相手が弱ってくる後半にノックアウトしてベルトを持ち帰る」と自信をみせている。試合前に伊藤が大舞台への心境、ディアス攻略のイメージなどを口にした。
7月2日、伊藤は早めに日本を出発した。米ロサンゼルスでディアス戦に向けた最終調整を行っていた。プロデビューから9年、26戦目(23勝12KO1敗1分)での世界挑戦は初の海外マッチとなった。
「不安はあるけれど、リングに上がれば同じかなと。ブーイングされる覚悟はあります。ただ、過去に何度もロサンゼルスでトレーニングしてきて、合間に試合も見ているので米国の会場の雰囲気は分かっています」
リング上では軽快なテンポで動き、パンチを出していく伊藤。自らの持ち味とは? スピード、パワー、テクニック、スタミナ、経験値などを10点満点で自己採点すると
「パンチを芯ではもらわないので、相手にとっては意外にやりにくのではないかと思います。スピードがあって、見た目以上にパワーもあるので崩しにくいイメージなのでは。(自己分析は)スピード8・5、パワー7・5、テクニック8、スタミナ8、経験7といったところでしょうか。10をつけられるものはないけれど、全体的に8ぐらいだと思います。ただ、パンチの見切りや順応する能力、当て勘、よける勘など数字に表せない能力は高いと思っています」
伊藤は現在、7連勝(5KO)中。プロキャリアを積み重ねていく中、戦うスタイルや姿勢も進化してきたという。
「倒しに行く気持ちだと思います。それまでは勝てばいいという気持ちがあったけれど、最近はリスクをおかしてでも倒さないといけないという気持ちが強いですね。お客さんの求めるものを考えるようになり、自然に手数も出るようになりました。1発で仕留めることは難しいので手数を出して倒すボクシングをするようになりました。それが7勝5KOという結果につながっていると思います。これまではワンツーで終わる、2発しか打てないボクサーだったと思いますが、3発、4発、5発とパンチを出せるようになり、それが倒せるきっかけになっていると思います」
15年以降、ロサンゼルスで年2~3回の合宿に取り組んできた。現地のトレーナーからのアドバイス、世界レベルのボクサーとのスパーリングも重ね、試行錯誤を重ねながら今のスタイルに到達した。
「ロサンゼルスでトレーニングをするようになってボクシングのスタイルが変わりました。自分から打って行かないといけない、ファイト(打ち合い)をしなければいけない、勝負に行く場面を必ず作らないといけないということを教えてもらいました」。
ディアス戦には、自らのストロングポイントを全面に出し、王座奪取のチャンスを見いだしていく腹づもりでいる。
「(持ち味は)スピードと運動神経だと思います。直線的なパンチに関してはボクの方が絶対に速いと思います。相手が振ってきたパンチはガードして、そこに右ストレートかアッパーを入れたいですね。(目指すスタイルは)遠くでも近くでも戦える、距離を操れるボクサーになりたいですね。オールマイティーで、しっかり倒せるスタイル。少しずつ近づいている実感はあります。以前は接近戦は得意ではなかったけれど、距離(バックステップ)で相手のパンチを外すとそこでいったん途切れてしまうので、スリッピングで外しながら前(至近距離)でパンチを当てていくボクシングを心がけています。それを極めればディアスにも勝てるでしょう。完成形は見えてきています」
ディアスの強さは頭にたたき込んでいる。ディフェンスの良さ、たたみかけるパンチ力、世界レベルの選手であることを認識している。
「ディフェンスの勘が良くてパンチをもらわない。それでいて1発当たったときの反応が優れている。5発、6発、7発とサンドバッグをたたくみたいに手が出ますね。そういう部分は(WBA世界バンタム級王者)井上(尚弥)選手とダブる部分があります。当て勘もよく、世界王者級の選手だと思います。ただ、穴はあります。たとえばディフェンスがワンパターンであるとか。守るときにガードをして固まることがあるので、接近戦はあまり得意ではないのかなと。それに、相手のパンチすべてに左フックのカウンターを合わせようとするので、そのあたりにチャンスがあるのかなと思います」
ディアス攻略のイメージも伊藤の頭で完成している。警戒するパンチもインプット済み。後半勝負が理想の展開だという。
「前半で倒そうとは思っていないので。当たって倒れてくれたらいいけれど、なかなか世界戦のレベルではないことなので、しっかり当てていって後半になって相手が弱ってきたところで倒したいですね。7~10回の間ぐらいで下がらせればこっちの勝ちだと思っています。最終的には相手が嫌な顔をして下がっているイメージがあります。(逆に)嵐のような連打に巻き込まれたらボクもぐちゃぐちゃになって余計なパンチをもらって熱くなってしまうので、それは避けたいですね。あとは交差するシーンが怖いですね。ディアスは左フックの当て勘がいいので。全ラウンドをとおして左フックには気をつけます」
プロデビューから9年でつかんだ世界挑戦のチャンス。新たなステージに進むためには、ベルトを奪取するしかない。
「勝てば人生が180度変わるので、これまでで最強の自分を作り上げているところです。ボクは動じるタイプではないので、土壇場になればやりきれる自信はあります。相手からすべてを奪う、すべて持ってくるつもりです。どんな状況に立たされてもベルトを持ち帰る確固たる気持ち、自信があります。前半はしっかり見て、中盤でダメージを与え、後半にノックアウト! 伊藤雅雪がKOで勝ちます」
※テレビ放送=29日午前11時からWOWOWライブで生中継。

