禁酒トレーナーに美酒を! ボクシング前IBF世界ミニマム級王者京口紘人(25=ワタナベ)が17日、31日にマカオで控えるWBA世界ライトフライ級スーパー王者ヘッキー・ブドラー(30=南アフリカ)への挑戦に向け、都内の所属ジムで練習を公開した。験担ぎで人生初の酒断ちを開始した井上孝志トレーナー(49)のためにも2階級制覇を成し遂げ、勝利の美酒と本物の酒をささげる意欲をみせた。
ミット打ちの動きが、実に軽快だった。世界戦2週間前の公開練習。リミットまで残り4・3キロまで減量を進めた京口がキレのある左フック、右ストレートを放つと同時に、井上トレーナーも左右にリズムを刻んで動いてパンチを受けた。禁酒で3キロ体重が減った同トレーナーの軽やかな動き。京口は「キュキュッと足にキレがありますよね。お酒が詳しくないのですが、試合後に発泡酒でもあげようかな」と感謝の気持ちを口にした。
先月29日の世界戦発表後から井上トレーナーの禁酒生活がスタートした。趣味は利き酒。元プロボクサーで現役時代には計量後にお酒を口にするほどのアルコール好きだが、ワタナベジム初の2階級制覇王者を誕生させるため、人生初の節制を始めた。過去2週間が禁酒の限度だったという“酔いどれ”トレーナーは「試合後、どこかに消えようかな」というほど苦しい状況ながらも「京口を男にしたい」と気を引き締めた。
愚直に験担ぎを続けるパートナーの意気込みに、京口のボルテージが高まる。「ボクも井上トレーナーを男にしたい。新しいベルトが手に入る日が近づいていると思うとワクワクします」と声をはずませた。飛行機が苦手な師匠・渡辺均会長も「京口のためなら」とマカオの世界挑戦を決断した経緯もある。「支えてくれる人がいるから頑張れる」と京口。5月に先輩の元2団体統一同級王者田口からベルトを奪い取ったブドラーを撃破し、井上トレーナーに「本物」の美酒を手渡すつもりだ。【藤中栄二】

