袴田事件を漫画で支援する。日本プロボクシング協会袴田巌支援委員会が23日に都内で、元プロボクサー袴田巌さん(82)の冤罪(えんざい)を訴える漫画を制作すると発表した。

「スプリット・デシジョン~袴田巌 無実のプロボクサー~」のタイトルで、2月から委員会のウェブサイトに毎月15日に6回掲載。全48ページの冊子にしたり、外国語版の作成、続報掲載なども計画している。

袴田さんは14年に48年ぶりで釈放も、東京高裁で決定が覆って、最高裁で審理が続いている。委員長の新田会長は「再収監の可能性もある。世の中に発信して、小中学生や関心のない人に興味を持ってもらえるのでは」と制作経緯を説明した。66年の事件発生から現在までを描いていく。

漫画家を目指す森重水さん(30)が作画を担当する。事件が起きた静岡市清水区出身で、2敗1分けの戦績の元プロボクサー。中学生の時に母から「ボクシングが好きなら、この人を知っておかなくては」と言われたという。事件のニュースやドキュメンタリーを見ていたとあって依頼を快諾。「支援側の意見の押しつけでなく事実に基づいて描いていく。少しでも力になり、1人でも多くの人に読んでもらいたい」と話した。

題名は判定が2-1に割れた時に使われる。一審の裁判官合議の際に、2-1の多数決で死刑が決まったことに基づく。袴田さんの姉秀子さんは「タイトルがいい。漫画の顔もよく似ている。支援していただいてありがたい」と感謝した。巌さんの現状は「精神的には少し不安があるけど、足が痛いという以外は健康」といい、14日には上京して後楽園ホールなどを訪れた。16勝(1KO)10敗3分けの元日本フェザー級6位までいき、年間最多19試合の日本記録を持つ。