プロボクシングWBOアジア・パシフィック・バンタム級王者の那須川天心(26=帝拳)が、1月1日に99歳で亡くなった長野ハル・マネジャーの教えを、世界前哨戦の“勝利の鍵”に掲げた。元WBO世界同級王者ジェーソン・モロニー(34=オーストラリア)とノンタイトル10回戦(24日、東京有明アリーナ)を控えた12日、都内の所属ジムでスパーリングを公開。長野さんから助言されていた“多彩な右”で終始ペースを支配、勝利を確信した。
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公開スパーリングの第1ラウンド、サウスポーの那須川は磨き上げた右手1本でペースを掌握した。「ビシッ、ビシッ」と強いジャブを突き刺し、前進する相手の動きを止める。
「1ラウンドは9割が右。止めるだけでなく、ダメージも与えるジャブ。今は前の手(右)で相手との駆け引きを楽しむことができている」。確かな手応えに練習を終えた那須川の顔が自然と緩んだ。
プロ6戦目で迎える元世界王者との前哨戦に向けてテーマに掲げたのが「前の手の使い方」。「試合をつくるのは前の手。どれだけ相手にプレッシャーを与えられるか、すごく大事。それをレベルアップしてきた」(粟生トレーナー)。
これはマネジャーとして名門・帝拳ジムを70年以上も支えてきた長野さんの教えでもあった。「(長野さんは)めちゃくちゃアドバイスしくれた。特にずっと言われていたのは前の手の使い方。いろんな種類を使いなさいと。今回のテーマともリンクしている」と、那須川は振り返る。
那須川の光る素質と人懐っこい性格に、長野さんも成長を期待していた。「ずっとニコニコしてお話ししていた。毎回、気にかけてくれた」と、那須川も自分への期待を感じていた。
世界挑戦まで前哨戦を2試合予定している。モロニー戦はその第1弾。「ベルトはそこまで興味はなかったけど、取る理由が増えた。(長野さんが)ずっと見てくれていると思います。しっかり勝ち続けたい」。天国からの激励も力にして、世界王者に一気に駆け上がる決意だ。【首藤正徳】

