ボクシングジム会長らで構成される日本プロボクシング協会、統括団体となる日本ボクシングコミッション(JBC)が12日、東京・文京区のJBCで緊急の事故防止委員会を行った。2日、東京・後楽園ホールで行われた興行で、東洋太平洋スーパーフェザー級王座に挑戦した同級5位の神足茂利さん(M・T)、日本ライト級挑戦者決定戦に出場した同級4位の浦川大将さん(帝拳)が試合後に開頭手術を受け、経過観察中に死去。同一興行で2選手が亡くなる異例の事態を受け、協会側からセレス小林こと小林昭司会長、加山利治事務局長、JBCは萩原実コミッショナー兼理事長、安河内剛本部事務局長兼執行理事が会合した。
緊急の同委員会で協会とJBCで主に4点の方向性が確認された。<1>世界戦以外では会場に常駐していなかった救急車の配備だ。安河内本部事務局長は「昨今の伝染病や脱水による出動で、思ったよりも早く到着しないケースも想定できる。基本的には救急車を配備しようということになった」と解説した。即時の手術可能な提携病院も増やしていくことでも合意した。
続いて、同委員会でも主要議題となった計量直前に体の水分を一気に抜いて体重を落とす「水抜き」減量への対策だ。選手が適切に水分を保持しているかを確認するための検査として尿比重を測定する<2>ハイドレーションテストを導入する方向だという。過度な水抜きによる体重減少を防ぎ、選手が安全に戦えるように行う検査で、アジアを主戦場とする格闘技団体ONEチャンピオンシップなどが実施し、規定値を満たさない場合は失格としている。
直前の試合中止などで興行開催に影響を及ぼす可能性はあるが、日本協会の小林会長は「日本選手の減量データが取れることが大事。今は何が(事故の)原因かは分からないが、まずは取り組むことが大事」と強調。安河内本部事務局長は「今回の事故で水抜きしていた事実は確認していない。因果関係が分かれば対策しやすいが、今はやれることをやっていく。あくまでも今後を見据えた取り組み」と説明した。
このハイドレーションテストに加え、当日計量で10%以上増量していた選手に対し、次戦からは1階級上への転級命令を出す方向も確認された。日本協会の小林会長は「10%以上増えるというのは相当なもの。その減量が正しいのかということも含めてのものとなる。世界戦は世界主要団体のルールがあるので準じるが、日本協会とJBCでやっているものは、日本王者や日本ランカーにはある程度、従ってもらうことになる」と指摘した。
さらに<3>プロテスト時はCT検査ではなく、細かく脳の状態をチェックできるMRI検査に変更。プロデビュー後、試合ダメージがみられた選手についてはMRI検査の受診を命じるすることでも一致した。また<4>アマチュアを統括する日本ボクシング連盟から提案された合同の医事委員会設立も受け入れ、今月中にJBCコミッションドクターと連盟医事委員による委員会開催を実施予定。安河内本部事務局長は「それぞれの持っているものを共有し、より良い医療体制をつくっていきましょうという話をいただいている」と明かした。
今回の事故防止委員会で確認された方向性は、今月中にも開催予定の日本プロボクシング協会の緊急理事会で協議される。その後、協会側とJBCで詳細を詰めた上で「可及的速やかに」(安河内本部事務局長)実施していく方針だ。日本協会の小林会長は「やれることは早急にやっていきたい」と言葉に力をこめた。

