東京女子プロレスはいよいよ今月29日に東京・両国国技館で春のビッグマッチ「GRAND PRINCESS'26」を開催する。プリンセス・オブ・プリンセス王者の渡辺未詩(26)は荒井優希(27)を相手に防衛戦を行う。前哨戦でもバチバチにやり合っている“最強の挑戦者”との決戦を前に何を思うのか。話を聞いた。
◇ ◇ ◇
-いよいよ本番が近づいていますが、荒井選手に関しては前哨戦の序盤の段階では、あまり認めていないというようなニュアンスの言葉を発していました。そこから試合を重ね、7日の新木場大会ではサソリ固めでギブアップを奪われました。現在は荒井選手のことをどう思われていますか
「前哨戦の最初の頃も認めてないというより、疑問があるという感じで。SKE48だった荒井優希、二刀流の荒井優希という印象の方が強くて。プロレス一本になってからの戦い方はどんなものだろうっていうのが一番にあったので、そこを疑問視していたんです。でも、これだけ前哨戦で戦って、たくさん荒井優希の強さを知れたので、今では荒井優希と戦える両国国技館が楽しみっていうところまできてますね」
-前哨戦ではフルネルソンバスターで場外の床にたたきつけられた場面もありました
「私は今回、どうしたら荒井を知れるかっていう、自分の中で計画を立てて戦っているんですけど、最初の段階からその計画を荒井がぶち破ってきたので。あのフルネルソンバスターは、すごい私の楽しみのスイッチを押した感じになりました」
-荒井選手が殻を破るような一撃でもありました
「そうですね、なんか恐ろしかったですね」
-試合を重ねるごとに2人の目が鋭さを増している感じがします
「もともと荒井優希という人間そのものが鋭いと思ってて。そういう部分は(タッグを組んだ)デビュー戦から隣で感じていたんです。デビュー戦でこんな鋭い目ができるんだって。それが対自分になった時に恐ろしさもありつつ、楽しいなって感じますね。その目を向けられた私って、逆にこんな目をするんだって。私はチャンピオンとして2度目の戴冠で、いろいろ経験は積んでいますけど、それでもまだ知らない私だったり、使ったことない脳みそだったり、そういうものが引き出されるんだって。それを思ったら、荒井と戦いあえているのは、かけがえのない時間だなって思いますね」
-先日の記者会見では荒井選手のことをミッキーマウスに例えていました。あれはどういう意味でしょうか。ミッキーマウスとシンデレラが戦ったら、どちらが勝つのでしょうか(笑い)
「ディズニー的にも多分戦ったことないと思うんで、異種格闘技戦ですね、まさかの(笑い)。でも本当に荒井はミッキーだなぁって思うことが多々あって。デビューして数試合経ったくらいから、人を集めるんですよ。SKE48だからということもあるんでしょうけど、人を集める人だなと思ったので。そういう部分から、荒井にしかできないプロレスをしてほしいなと思います。会見では『エース宣言』みたいなのをしてたんですけど、私は荒井にはやっぱり『ミッキー宣言』してほしいですね(笑い)。スターであり続けてほしい」
-ミッキーに例えたというのは、スターという意味なんですね
「スターですね。世界どこの国でもスターなので。ミッキーはキャラクター界の“顔”じゃないですか。荒井はそういう人間だと思っているので。逆に私はシンデレラ城の中でどっしりと構えていて、ディズニーランドの“顔”にもなれるしシンボルでもある。そしてしっかりとした強さを持っている。やっぱりシンデレラって強いので」
-でも、言われれば言われるほど、じゃあシンデレラとミッキーはどっちが勝つのかって分からなくなりますね(笑い)
「これはもう世界中が気になることだと思います(笑い)」
-夢のカードですね
「そうですね、初めて(シングルで)戦う場所が両国国技館で、こういう運命であったことがうれしいなって思います。荒井がデビューした時からそういう運命で決まってたのかなって感じますね」
-運命ですか
「正直、荒井がデビューするとなった時に、私は荒井の二刀流とは違う形ではあるけどアイドルとプロレスを東京女子で先陣を切ってやっていたので、アイドルオタクの自分としては荒井は大歓迎だったんですけど、アイドル兼プロレスラーとしてはいろいろ考えるところがあって。考えたり、落ち込んだりして。でも荒井がプロレスを続けてくれたからこそ、結果としてこう形になったことがうれしいなって思います」
-自分と立ち位置がかぶってしまう、みたいな気持ちがあったんですね
「かぶるというよりも、AKB48グループってアイドル界の天下を取っていたので、私も憧れてたものにいる人がプロレスもするってなったら、もうこっちは手が出ないじゃんって思って」
-ズルじゃん、みたいな
「はい、ズルじゃんって本当に思ってましたね。しかも私たち『アップアップガールズ(プロレス)』は、これは後にも先にもまだいないんですけど、アイドルとプロレスを同時にどっちも始めたんです。だから当時は自分がやってることが本当に無駄なことだなって思えてしまって。だって同時に始めるのってメリットゼロなんですよ。プロレスラーが歌を出すってなったらプロレスファンが注目してくれるし、アイドルがプロレスするってなったらアイドルファンが注目してくれる。でも何もない田んぼから出てきた女の子がどっちもやりますって言ってもメリットはないって考えたんです」
-確かに
「そういうことになんとなく気づいてしまって。今まで形を作ろうとしてたものが荒井に崩されるっていう感覚ではないんですけど、東京女子に居場所がなくなるっていうふうに当時思って。結構、人生で最大に落ち込むくらい考え込んだ時期ではありましたね。とはいえオタク心としては荒井大歓迎だったので、複雑でした(笑い)」
-でもそういう状況を乗り越えて今や未詩選手は団体の顔、トップにまで上り詰めました
「これは人として荒井と全然違うところなんですけど、私めちゃくちゃ余計なことまで考える性格なんですよ。なので、その考えることがプラスになるのかマイナスになるのか、どちらが正解とは言えないんですけど、余計なことまで考える自分だからこそできたものがあればいいなぁと思います」
-そういうものもすべてひっくるめて荒井選手との防衛戦はどのような試合になりそうですか
「だいぶこう(荒井から)蹴られて、投げられて、なんか最初に不安に思っていた部分は全部なくなって。東京女子プロレスで見せられる最高の試合ができるんじゃないかなっていうふうに思ってます。あとやっぱり荒井って最初からプロレスに向いてるんですよ。プロレスラーになって体格が変わったみたいなコメントとかよく見るんですけど、アイドルに対してガタイ良いっていう見方をみんなしないからであって、どう考えてもアイドル時代からプロレスラー体形なんですよ。それにプラスして体を作ってるからシンプルに力が強い」
-それでは最後にシンデレラがミッキーマウスに勝つにはどうすればいいでしょうか
「シンデレラの最後のシーン、舞踏会で王子様と踊るシーンを思い浮かべながら当日は両国に入りしたいなと思います。回転してみせます」
-踊るイメージで、荒井選手をジャイアントスイングで回転させるということでしょうか
「まあまあ、それは諸説あります(笑い)。でも最高の両国国技館の締めくくりにしたいと思うので、プリンセス・オブ・プリンセスの私に皆さんついてきてください」

