西十両12枚目の安美錦(38=伊勢ケ浜)が、西十両14枚目の富士東(29=玉ノ井)を押し出して初日から4連勝を飾った。
右から張ってまわしをつかむと、右を差して前に寄った。「いつも突かれて、下がって負けている印象しかないから、張って中に入っていこうと思って」。
1度は残られて、差し手が振りほどかれた。反撃に遭いかけた。だが、ここで「引く」という、これまでの姿はなかった。「振りほどかれた後も我慢して。(相手の)突き落としを残したから、ここから前に出ようと思った。(自分は)前に出る相撲じゃないのにね」。両手をはず(脇)にあてがい、力強く前に出る。昨年夏場所の左アキレス腱(けん)断裂からの復帰後、1番の相撲内容に、会場からはひときわ大きな拍手が起こった。
「(反撃されたとき)今まではあそこで足を出せなかった。こらえ切れない。今日はよく残したね。昨日つめを踏まれて、青くなっているし、痛いし。だから、足を出していこうと思っていた。中に入っても前に行こうとしか思わなかったから、それがいい方向にいったよ」。
初日からの4連勝は幕内だった2年前の春場所以来。「目の前で(弟弟子の)照強があんなしょっぱい相撲を取るから、何かしようじゃなくて前に出ようと、いい教訓になったよ」と笑わせて「今の天気模様と一緒で、相撲もガラッと変わるからね」と、独特の言い回しで喜びは控えめにしようとしていたが、心のありようは、いつも以上の冗舌さが物語っていた。


