元前頭貴ノ岩(28)が起こした暴力問題を受けて、日本相撲協会は19日、東京・両国国技館で理事会を開き、暴力禁止規定や力士の暴力に対する処分基準を決めた。横綱が暴力を振るった場合は「引退勧告以上」とするなど、関取衆、若い衆と番付に応じた処分基準を発表した。またコンプライアンス委員会の発足を決議し、全関取衆が対象の研修会も実施。暴力根絶への本気度をうかがわせた。
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横綱が暴力を振るったら引退-。引退勧告に相当すると判断された昨年の元日馬富士、さらには10年の元朝青龍と、最近、相撲界を去った2人の元横綱の事例と照らし合わせ、相撲協会が処分基準を発表した。さらに親方衆について、八角理事長(元横綱北勝海)は「当然、現役よりも厳しくしなくてはならない」と、横綱への「引退勧告以上」という処分と同等以上に相当との考えを明かした。
現役力士は十両以上の関取衆、幕下以下の若い衆という番付などに応じた処分を科す。関取衆は、今年3月の春場所中、付け人に暴行を働いた貴公俊(当時十両)の事例と照合し、出場停止1場所が基準。若い衆でも今年、出場停止1場所の事例があったが、暴力が3カ月余り続いた点、暴力により被害者が引退した点などを加味されたものだ。おおむね番付が上がるにつれて、処分は重くなる。
相撲界と暴力が問題視される発端となった、昨年10月の元日馬富士による暴行事件では被害者、今月の冬巡業では付け人を暴行して加害者となった、元貴ノ岩は複数場所の出場停止相当であったとの見解も示された。すでに引退しているため、鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜)は「協会としては処分しない」と明言。だが、今後の指標となる問題だけに同部長は「貴ノ岩の場合は、前回、いろいろなことがあった当事者なので、厳しい処分、出場停止にしても場所数が加算されるのでは」と語っていた。
この日の理事会では、処分基準の前提となる「暴力禁止規定」が制定された。稽古では厳しさが求められるだけに、暴力と指導の境界線について芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「線引きは難しい」という。だが道具を用いた暴力や「正常な稽古、指導の範囲を明らかに逸脱したしごき、制裁、その他暴力」などを禁止すると定めた。八角理事長は「相撲協会から暴力をなくしていきたい」と力説。コンプライアンス委員会の発足も決議し、暴力があった際には通報できる体制の強化にも努めている。【高田文太】

