大相撲の横綱審議委員会(横審)が、名古屋場所で散見された立ち合いの乱れについて、協会に指導と改善を求めた。

22日、東京・両国国技館で行われた横審の定例会合。「待ったが多い、その前の段階で最後の仕切りに入らない」と指摘する矢野弘典委員長(78=産業雇用安定センター会長)を始めとした委員の複数人から、呼吸の合わない立ち合いについて不満の声が上がった。

矢野委員長は「立ち合いで呼吸があって一気に立つ、そこが相撲の面白さの極致なので、ぜひ注意してほしい」と強調。八角理事長(元横綱北勝海)ら、会合に出席した協会執行部に「よく指導するようにお願いした」という。

芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「待ったは師匠会とかでも理事長から話が出ている。各師匠から注意するように、よく伝えてくれと言っている」と、協会内でも日頃から議題に挙がっていることを付け加えた。

不満の声が上がった力士や取組について、矢野委員長は具体名こそ挙げなかったが「地位の上の者ほど、特に横綱、大関が模範をすべきという意見が出た」とした。

優勝争いを展開した両横綱について矢野委員長は「鶴竜は故障を克服してよく頑張った。両横綱が場所を引っ張って、千秋楽の取組は緊張感があった。大関がみんな休場してどうなるかと思ったが、余りある活躍」と高く評価した。

炎鵬や照強の小兵力士の活躍にも「相撲の醍醐味(だいごみ)を教えてくれた。小よく大を制す。(ファンは)体重無差別の相撲の面白さを堪能したんじゃないか」と目を見張った。