日刊スポーツ大相撲評論家の高砂親方(元大関朝潮)に、部屋の近況や開催を目指す7月場所(19日初日、両国国技館)への思いなどを語ってもらう不定期連載「大ちゃん大分析~特別編~」。6回目は、高校生へのエールです。

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夏の甲子園がなくなり、インターハイも中止。悲しい思いをしている高校生、特に3年生は多いだろう。今は割り切れないかもしれないが、それも人生の一部だと思ってほしい。

自分が高校生のころは鳴かず飛ばずというか、高知県内で2位はあっても全く目立たない存在だった。それが、ひょんなことから近大への道が開けた。当時、高知高に高校NO・1の選手がいて、そのスカウトに近大の■監督が来たんだ。自分も連れられて一緒にいたんだけど、いわば“おまけ”で入学が決まった。室戸から、おやじも来ていて「よろしかったら息子もお願いします」ってね。

高校時代はもちろん、大学3年の途中までプロになるなんて夢にも思わなかった。そんな力はないから、学校の先生になれればいいやと。ただ地道な稽古で力を付けて、大学3年で学生横綱になってアレ? ってな。アマ横綱にもなれて4年でも横綱2冠。それでプロが現実的になった。

高校横綱やプロを目指した選手もいるだろう。ただ活躍の場がなくなっても、日ごろの稽古はうそをつかない。花が咲く日はきっと来る。そうなればコロナ禍の今年は「記憶に残る夏」として一生、心に刻まれるだろう。(日刊スポーツ評論家)

※■=しめすへんに壽