大相撲で序二段から史上初の再入幕を果たした大関経験者の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が9日、報道陣の電話取材に応じた。

開催を目指す7月場所(19日初日、東京・両国国技館)に向けて「(夏)場所がない分、暴れてやろうという気持ち」と待ち切れない様子だった。この日は、都内の部屋で平幕の宝富士と十両翠富士を相手に20番ほど相撲を取ったという。序二段陥落の引き金となった両膝の負傷や内臓疾患の影響により、ここ最近までは20番も相撲を取れなかった。しかし「ちょっとずつそういう稽古が出来るような体にしていかないといけない」と、稽古に熱が入るようになった。

初優勝した15年夏場所後に大関に昇進。綱取りを期待されながらも簡単には届かず、負傷や病気により番付を落とした。引退も考えたが、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)からの懸命な説得に奮起。4場所連続全休明けとなった19年春場所から土俵に上がり、東十両3枚目だった今年の春場所で10勝を挙げて再入幕を決めた。苦労人は「こういう時期だからこそ、乗り越えてきた自分だから言えることもある。みんなに我慢ということを相撲でちょっとずつ伝えていきたい」と言葉に力を込めた。【佐々木隆史】