横綱とは-。大相撲の横綱豊昇龍(25=立浪)が、現在の胸の内をせきららに語った。6日、富山市で行われた春巡業に参加。朝稽古後、支度部屋で報道陣に対応した。昇進伝達式から2カ月余りを迎え「大関とは違うか」の質問に「そりゃあ、そうだよ。みんなの…。何ていうかね…。みんなに手本を見せないといけない」と、自らに言い聞かせるように静かに話した。

2度目の優勝を果たした1月の初場所後、横綱に昇進した。同場所中に一人横綱だった照ノ富士(現照ノ富士親方)が引退。3月の春場所で豊昇龍は、昇進直後の場所で一人横綱を務めるという、曙以来、戦後2人目の経験をした。その中で9日目までに5勝4敗。金星は3個配給し、10日目から休場した。復活を印象づけたい夏場所(5月11日初日、東京・両国国技館)に向けて、3月30日から始まった春巡業では、精力的に汗を流している。

相撲を取る稽古は、今月3日の奈良・橿原市から再開し、関脇王鵬、前頭平戸海を相手に計9番で8勝1敗。前日5日の石川・七尾市での巡業が2度目で、前頭熱海富士相手に7番で5勝2敗だった。稽古内容は十分に映るが“それでいいのか”という思いがあったようだ。そんな時にアドバイスを求めたのが、審判部の親方として巡業に初参加している音羽山親方(元横綱鶴竜)だった。

実は音羽山親方とは、同じウランバートル市の「第31小・中学校」の卒業生という縁がある。「横綱はみんな、どういうことをしているのか、ということを教えてもらっている。同じ横綱だし、モンゴルの兄弟子だし、中学校の先輩だし。自分1人しかいないから」。この日も、朝稽古中、大部分の時間、土俵下に立っていた音羽山親方の隣に陣取り、話し込んでいた。

教えてもらったのは「いろいろ」と、詳細は明かさなかったが、体づくりから横綱としての振る舞いなど、多岐にわたっているようだ。この日の朝稽古では、相撲こそ取らなかったが、平戸海、若元春にぶつかり稽古で胸を出した。稽古が終わると、土俵に向かって深々と一礼。「礼は大事。それが相撲の文化。やらない人には注意する」。土俵外での言動が、何かと話題となった叔父の元横綱朝青龍と比較されることが多いが、相撲道を追及したいという思いは、叔父よりも強いのかもしれない。

桜の咲くこの季節は、好きだという。「桜は毎年、見てるんだよね。どこが、いい感じ(見ごろ)か調べて。まあ、ちょっとずつ温かくなってきたし、いい感じだね」。ちょうど、この日の富山市は桜が見ごろだったが、それは知らなかったという。桜よりも今は“横綱とは”を、考え、実践することで精いっぱいなのかもしれない。焦る気持ちもあるのだろう。ただ、日々、悩み、もがき苦しんだ先に、大輪の花が咲くと信じ、精進している。【高田文太】