横綱豊昇龍(25=立浪)が、2日連続の難敵撃破で勢いに乗ってきた。東前頭筆頭の若元春を、鋭い出足から寄り倒した。前日11日の初日は、小結若隆景に快勝。今場所前の稽古で苦戦した、実力者2人の挑戦を立て続けに退けた。新横綱として臨んで金星3個を配給、途中休場した先場所の汚名返上とばかりに、好内容が続く。綱とりの大関大の里の壁として立ちはだかり、横綱初優勝を狙う。

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気負いも、焦りもなかった。豊昇龍は立ち合いで左から張る、珍しい立ち合いを選んだ。若元春に一瞬でも“いつもと違う”と、思わせた時点で戦略勝ちだった。隙をつき、ズバッともろ差し。一気に寄り立て、4秒3で決着をつけた。最後は相手の捨て身のうっちゃりを、土俵外に身を投げ出しながら体幹の強さで封じた。「やることはやってきたから」と、稽古十分を知らしめる快勝。精神面の充実ぶりが見えると報道陣に言われると「マジ!? じゃあ、いいじゃん」と笑顔。ご機嫌だった。

今場所前の7日は、時津風一門の連合稽古に一門外から参加した。そこで若隆景に7勝4敗、若元春に3勝2敗。白星が先行するまで、豊昇龍次第で番数を重ねられるだけに、実際は数字以上に接戦だった。命運を握るとみられた2日間を連勝発進。「考えた通りに相撲を取れてよかった」と胸をなで下ろしていた。

横綱とは-。先場所は、新横綱として39年ぶりに休場。その後の巡業で、悩める胸の内を明かしていた。大関とは違い「みんなに手本を見せないといけない」と重圧を感じていた。「横綱はみんな、どういうことをしているのか。自分1人しかいないから」。先輩横綱から学びたくても、昇進時点で一人横綱は曙以来、32年ぶり3人目。巡業中の土俵内外での振る舞い、関取衆にどう稽古をつけるか分からず、弱音が漏れた。

そんな時、審判部として巡業に参加していた音羽山親方(元横綱鶴竜)に助言を求めた。ウランバートルの「第31小・中学校」の先輩。教えられたのは背中で見せること。誰よりも稽古する姿が身も心も鍛えた。2日の稽古総見では最多の22番。綱取りの大の里戦へ「頑張ります」と静かに決意を語っていた。壁として立ちはだかり、横綱初優勝だけを見据えている。【高田文太】

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