7月の参議院選挙の大敗を受けて、混迷を続けてきた石破総理総裁の出処進退劇は、首相の辞任表明を受けてひとまず終止符を打った。これにより総裁選挙管理委員会が、総裁選挙の前倒しを決めるという異常事態は、回避することができた。

石破首相の下、昨年10月の衆院選、今年6月の都議選、7月の参院選で自民党は3連敗し国民の信頼を大きく損なった。にもかかわらず、執行部や総理経験者たちの忠告もどこ吹く風と、49日間居座っていた首相もさすがに党の分裂は回避すべきという党総裁としての職責に気付かれたようだ。

先の参院選の総括にもあるように、自民党は解党的出直しをしなければならない。そのためにはまずトップが率先して責任を取ることが必須だった。その責務が組織の長たる者のレゾンデートル(存在意義)だ。いささか遅きに失した感は否めないが、まずはまっとうな判断だった。

辞任を受け、間もなく総裁選挙が執り行われるが、これをもって信頼回復の第1歩としなければ、自民党の明日はない。候補者たちで徹底的に議論を戦わせ、この国をどのような方向に導きたいのかを、丁寧に描いて見せて欲しい。

総裁になれたところで衆参で過半数を割り込んでいる現状では総理大臣になれるとは限らない。新しい自民党総裁は、自分の信念を御旗に野党との合従連衡に果敢に挑んで行く戦術と力量が求められる。容易ならざる道になるだろうが、お家騒動はもうやめて挙党一致で国の利益に資するよう、力を合わせるべき局面だ。

先日、ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団でショパンのピアノ協奏曲とブラームスの交響曲を聴いて来た。指揮者は女性のアンナ・スウコフスカ-ミゴンさん。ピアノはミレニアムベビーの牛田智大さん。若き天才の指が鍵盤の上で舞い、大胆かつ繊細な指揮者が熟練のオーケストラを華やかにまとめ上げ、心が高揚する素晴らしい共演だった。このような政治を見たい、と切に願う。

老若男女がそれぞれの仕事をしつつ、力を合わせて大きな成果を挙げて行く。危ういターニングポイントを迎えた自民党の存続は、有能なマエストロを選出できるか否かにかかっている。