★日本維新の会との連立の条件とした、さして急ぐ必要がない国家情報会議設置法案、衆院議員定数削減法案や「副首都構想」関連法案、国旗損壊罪に関する法案、皇室典範改正案などが会期末を前に停滞している。維新幹部は7月17日の会期を延長して法案を通したい構えだが、早々に自民党幹事長・鈴木俊一は延長せずの方針を打ち出した。首相・高市早苗の意向は予定通りに国会を閉じれば、野党は騒ぐ場所がなくなり、中傷動画やサナエトークン追及はさたやみになる、との腹。そのためにも前述の法案成立に注力したいところ。

★ところが野党優勢の参院日程は与党の思い通りには展開できず、集中審議や党首討論の要求をのまざるを得ず、首相と自民党参院幹部が調整するものの、国会審議を首相がやりたがらず、自民党内も異例の事態に混乱し始めている。その間にも首相の売り出しに大きく寄与した「米国連邦立法調査官」コングレッショナル・フェローという肩書の信憑(しんぴょう)性も揺らぎ始めた。首相は昨年の総裁選での記者とのやり取りでも「私の名誉に関わる」とし「決して米国に弱みを握られているわけでもない。コングレッショナル・フェローは事実。文書もある」としていたが、当然その文書の提出も野党から求められるだろう。先の静岡県伊東市長や、都知事についても同様の疑惑が付きまとったように、その経歴を見て有権者の様々な判断をする。経歴詐称は最初に有権者を裏切る行為と言えよう。

★首相の勘違いは日本の内閣総理大臣が言うのだからなんでも通用する、無理が通ると思い込んでいるところだ。戦後の首相は往々に孤独なものだ。絶えず決断と実行に迫られる。首相になったらやりたいことだけできるわけではない。そのジレンマとストレスをかわすために側近や同僚議員、官僚、財界などの交遊に知恵を求め乗り切るのだ。ところが首相がまいた種で立ち往生している状況では、首相自身が打開に向け自ら動かなければならない。または自分には手におえないと官邸に引きこもり、自分だけの権力に酔うつかの間の時間を求め、退陣を決めるかだ。(K)※敬称略