★首相・高市早苗はインドを訪問しているが、高市政権の外交は歴代政権と全く違うのではないか。1つは「防衛装備移転三原則」から「救難・輸送・警戒・監視・掃海」の5類型制限撤廃をし、殺傷能力を持つ国産兵器の輸出が完全解禁されたことで、首相と防衛相は官僚用語では穏やかに「防衛装備品」だが、武器商人と呼べるほど日本外交は武器輸出のトップ営業マンと化した。AIや情報通信も軍事化への転用がしやすい分野で、結局日本外交の最大の役割は死の商人となっている。自衛隊とインド軍の連携や防衛装備品の輸出などがナレンドラ・モディ首相との首脳会談の議題といえる。ただ中国を始めインドも日本外交のように米国との関係だけで測ることはできず、したたかに立ち回る。
★もう1つはインド訪問を外務省は「戦略的協力関係の強化」「経済安全保障とエネルギー安全保障」「投資やイノベーションを通じた経済成長」と位置づけ、半導体、レアアース、情報通信などで民間投資も含め経済協力を推し進めるが、脱中国依存とする対中政策を念頭にした資源・鉱物供給源確保の外交に転じたことだ。首相は5月にアジアで初の外遊先としてベトナムを選びエネルギー、重要鉱物、科学技術などの経済安全保障分野における「包括的戦略的パートナーシップ」とアジア・エネルギー・資源供給力強靱(きょうじん)化パートナーシップを推進した。つまり大筋で中国抜き、または中国包囲網構築と言える。
★ロシアとウクライナの戦争は極東にある日本と北大西洋条約機構(NATO)の距離を縮め、経済と軍事のブロック化を進めた。加えて国連という枠組みを形骸化させ、現実的で緩やかな同盟を構築する過程に大きく関与した。日本は世界の中堅国とみられているが、日本は大国と思っている。一方、中国の経済的・軍事的役割を過小評価しているのは日本ぐらいなもので、欧米は中国を次世代の日本にとって代わるアジアのリーダーと位置づけている。このズレた外交が高市外交の基軸ではないか。(K)※敬称略


