★米ドナルド・トランプ大統領の詭弁(きべん)は戦争だろうが、国民生活だろうがお構いなしだ。米軍はイランに対して23日まで13日連続で夜間空爆を実施していたが、米中央軍(CENTCOM)は24日から3日連続で対イラン空爆を停止している。24日の閣議でトランプは追加空爆を承認しなかったといわれる。米マイケル・ウォルツ国連大使は「外交に余地を与えているのだ。そのために少しの時間を与えている。大統領は外交のチャンスを与えており、今後数日間の展開を見守ることになる」と説明した。27日、トランプはイラン政権側からの要請を受け、米国が同国への攻撃を一時停止したと明らかにした。一方で、新たな停戦合意に至らなければ、攻撃を再開すると警告した。

★しかし実態は違うと複数の米メディアが報じる。ダン・ケイン統合参謀本部議長は特に米国の軍需物資備蓄とその他の潜在的な悪影響について懸念を表明。湾岸地域の米軍基地について、防空網が迎撃ミサイル不足により脆弱(ぜいじゃく)になっているとの軍の報告もある。トランプはいつものように攻撃を激化させ、イランに譲歩を迫る手法だが限界がある。無論、地上部隊の投入も可能だ。だが最大の懸念は米軍に多大な犠牲者が増えることだ。米国防総省は22日、戦争による死傷者データベースを更新したが、国防死傷者分析システム(DCAS)には、今月7日以降の死傷者を追跡するための新しいカテゴリー「海外作戦」を追加した。結果既に600人以上いる死傷者が減少した。当然、上院軍事委員会の民主党議員12人はピート・ヘグセス国防長官に説明を求めているが回答はない。

★日本人なら80年前のいつか来た道をほうふつとさせるだろう。米国が健全なのは大統領や国防長官以外、軍部も議会もメディアも機能している。ただ現代の日本で同様の事態が起きた場合、やはり首相や防衛相は機能しないだろうが、議会もメディアも政府の言いなりになりかねない。新たな戦前を感じる瞬間だ。(K)※敬称略