米連邦最高裁は25日、2021年の議会襲撃事件で免責特権が適用されるとのトランプ前大統領の主張の是非について口頭弁論を開いた。

判事の間では全面的な適用に懐疑的な見方が強かったが、今後も大統領経験者が政敵の意向で訴追される可能性を指摘する意見もあり、結論は見えなかった。

米メディアは、最高裁が会期末の6~7月まで判断を示さないとの見通しを伝えた。この日の口頭弁論では下級審に審理を差し戻すべきだとの声もあり、議会襲撃事件の公判開始はさらに遅れそうだ。11月の大統領選で返り咲きを狙うトランプ氏は、公判の引き延ばしを狙っている。

トランプ氏は25日、ニューヨークで記者団の取材に「免責特権がなければ大統領は何もできない。形式的な大統領になってしまう」と訴えた。大統領選で勝利した場合、自身が指名する司法長官に起訴を取り下げさせたり、自身に恩赦を出したりすることも検討しているとされる。

トランプ氏の弁護士は口頭弁論で、核兵器の機密を敵国に売り渡したり、政敵を暗殺したりしても免責特権が適用されるのかとリベラル派判事に問われ「公務であれば免責される」と主張した。一方、在任中の私人としての行為には免責特権が適用されないとの見解も示した。

トランプ氏は20年大統領選の敗北を覆すことを企て、警察官1人を含む5人が死亡した議会襲撃事件を誘発したとして起訴された。ワシントンの連邦高裁は今年2月、免責特権は認められないと判断し、トランプ氏が上訴した。免責特権の司法判断が確定していないことから、連邦地裁は3月4日に予定された初公判を延期した。(共同)