生成人工知能(AI)によって自身の声を無断で模倣した動画が公開されているとして、人気声優の津田健次郎(54)が、TikTok(ティックトック)の運営会社に動画の削除を求めて東京地裁に提訴していたことが23日分かった。津田の代理人弁護士が取材に明らかにした。生成AIによる声の無断利用を巡る訴訟は初めてとみられる。

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生成人工知能(AI)の急速な発達に伴い、歌手や声優らの声が無断で利用されるケースが増えているが、法的責任はあいまいな状態だ。

声の無断利用を巡っては現在、法務省が有識者検討会で法的対応について協議を進めている。4月の初会合では、声も一般的な肖像と同様に人物を識別する情報であり、保護されるべき権利であるとの認識で一致した。

だが名前や顔写真と異なり、声の類似性を客観的に判断するのは難しいとされる。検討会は権利侵害に当たる事例を整理し、7月をめどに指針をまとめる見通しだ。

AIに詳しい中島博之弁護士は今回の訴訟について「投稿者が実際に声優の声をAIに学習させたかどうかがポイントになる」と指摘。声は人によって捉え方が異なるため、裁判でパブリシティーの権利侵害が認定されるハードルは、名前などに比べ高いとみる。

検討会には「権利侵害に当たる事例を類型的、具体的に示すべきだ。声の類似性をどのように検証するのかも明らかにしてほしい」と求めた。(共同)