静岡県熱海市の大規模土石流発生から5年を迎えた3日、市は被災した伊豆山地区で追悼式を開いた。犠牲となった12世帯28人の遺族らが参列。ある遺族は「まだ昨日のように思う」と話した。斉藤栄市長は「二度と同じ悲しみを繰り返さないため、安全安心な地域づくりに全力で取り組む」と述べた。発生時刻とされる午前10時28分には、会場など地区の各地で黙とうがささげられた。
土石流の起点となった土地は2021年7月3日、大雨で崩落し、住宅街に流れ込んだ。違法な盛り土造成が一因と指摘されている。地区では23年9月、警戒区域が解除されたが、避難した132世帯227人のうち、先月20日時点で帰還したのは29世帯60人にとどまる。用地買収が難航。道路整備が遅れるなど復興は道半ばだ。
国は土石流を機に、盛り土規制を強化。23年5月、区域内での造成を許可制などとする盛り土規制法が施行されたが、その後も全国各地で新たに不適切な盛り土ができている。
式典では、犠牲者の名前が読み上げられた。出席した鈴木康友知事は「不適切な盛り土による災害から県民の生命と財産を守るため、監視体制の強化と適切な指導を進める」と述べた。長女西澤友紀さん=当時(44)=を亡くした小磯洋子さん(76)は「5年だからという節目は遺族にはない。まだ昨日のように思い、ああすればよかった、こうすればよかったと後悔している」と語った。
遺族らは土石流発生の責任を問い、起点となった土地の現旧所有者や県、市に損害賠償を求め提訴した。今年2~3月に静岡地裁沼津支部で開かれた尋問で、被告はいずれも法的な責任を否定。来年3月までに判決が言い渡される見込みだ。
県警は起点となった土地の現旧所有者と斉藤市長を過失致死容疑などで捜査している。(共同)

