相模原市の障がい者施設「津久井やまゆり園」で、19人が殺害され、27人が重軽傷を負った事件から5カ月となった26日、手を合わせる人の絶えなかった施設前の献花台が撤去された。凄惨(せいさん)な犯行状況に加え、逮捕された植松聖容疑者(26=鑑定留置中)が元職員で、「障がい者は生きていても意味がない」などの理不尽な主張をしていることも大きく報じられた。一方、匿名となった被害者の実情は見えにくい。知的障がい者の支援現場、専門家を訪ねた。【清水優、小松正明】
「意思疎通のできない人を刃物で刺した」「抹殺することが救済」。植松容疑者は供述でそう話した。なぜ障がい者支援の現場にこう考える職員がいたのか。
知的障がいのある児童から高齢者まで、静岡県や関東で幅広い支援を行う社会福祉法人愛誠会。静岡地区統括管理者は「福祉は倫理観の上にしか成り立たない。障がいがあってもその前に人間であることは揺るぎない。生きていることが大事。そこに議論の余地はない」と憤りを隠さない。
同法人の利用者が仕事をする「就労継続支援B型」では、重度の知的障がいのある人も含めた入所者らが、紅茶の缶作りや自動車などの部品作りを行う。瀬戸物の食器で丁寧な料理を提供し、一般客で連日満員だ。パン工房では地場産材料にこだわり、品質の高さで勝負する。仕事に励む利用者の懸命な姿を見ていると、植松容疑者の「障がい者は生きていても意味がない」との発言は、議論にならないほど稚拙に思える。
ある支援施設の職員も「『障がいだから』ではなく『障がいだけど』と考え、利用者と一緒に挑戦することにやりがいを感じさせてもらっています」と話す。後輩の職員が悩みを抱えていないか目を配り、雑談を繰り返して相談に乗る。
「植松容疑者には、障がいのある人が活躍しているいろんな場所を見せてあげたかった。もしかしたら、考えが変わっていたかもしれない」。そんな思いも、ぬぐえずにいる。


