サッポロビールが発売していた「極ZERO」は酒税法上の「第3のビール」にあたるとして、同社が納付した酒税約115億円の返還などを国に求めた訴訟の判決で、東京地裁は6日、同社の請求を棄却した。

古田孝夫裁判長は判決で、製造過程のデータを調査した上で「第3のビール」に該当しないとする結論を示した。

親会社サッポロホールディングスは控訴について、「今後の対応につきましては、判決内容を精査し、訴訟代理人とも協議のうえ決定いたします」とコメント。現時点での業績への影響は否定した。

サッポロビールは、極ZERO発売から約半年後の14年1月に、国税当局から「第3のビールに該当しない可能性がある」として製造に関する情報提供を求められたため、販売を中止。もし非該当となった場合は延滞税が発生するため、発売時からの酒税の差額約115億円を自主納付した。

その後の社内調査で第3のビールであると判断。税務署などに返還を求めたが応じられなかったため、一昨年に訴訟を起こしていた。

争点は、極ZEROが第3のビールの「税率適用区分に該当するか否か」。同社は極ZEROの区分を、「発泡酒にスピリッツを加えたもの」である「リキュール(発泡性<1>)」としていた。第3のビールの1種で、税率は1キロリットルあたり8万円。350ミリリットル缶あたり28円で、発泡酒の47円、ビールなど発泡性酒類の基本税率77円とは大差になる。

極ZEROは13年6月、「世界で初めてプリン体0・00」をうたって発売。5カ月で1億本を売り上げるヒットとなった。販売中止後の14年7月、製造方法を一部変え発泡酒として再販している。【大井義明】