鈴木さんのルーツを救え! 全国に推定182万人いるとされ、名字ランキング2位「鈴木」姓のルーツである一族が住んだ国史跡「鈴木屋敷」(和歌山県海南市)の復元に向け、ふるさと納税や、クラウドファンディングで全国の鈴木さん、鈴木さん以外からも支援を募集している。

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全国的にメジャーな鈴木さんのルーツは和歌山県海南市とされる。熊野地方の豪族・鈴木一族が平安時代末期に藤白神社に移り住んだと伝えられ、都から来訪する皇族の案内役に従事した。熊野信仰の布教や「源平合戦」への出陣などで全国に鈴木姓が広がったといわれている。

42年(昭17)に122代当主が亡くなって一族は途絶え、江戸時代末期に建築された木造平屋2棟の屋敷はシロアリや台風被害で老朽化が著しくなった。そこで市と地元の有志らが98年(平10)から「鈴木サミット」を開催。15年(平27)に「鈴木屋敷」を含む「藤白王子跡」が国史跡に指定されたのを機に「鈴木屋敷復元の会」を設立し、活動を本格化させた。

屋敷の建て替え工事など総事業費は約1億5000万円が見込まれる。国や県などからの補助金が約9000万円で、残る約6000万円を企業版ふるさと納税(地方創生応援税)やインターネット上で資金を募るクラウドファンディングでまかなう計画だ。4月22日にスタートしたクラウドファンディングは7月31日まで。目標額は100万円だが18日時点で「1カ月足らずですが約50%に達しました」と、復元の会・平岡溥己事務局長(82)は驚きと喜びを隠せない。

「メジャーネーム」だけにビッグな寄付もあった。自動車大手スズキの鈴木修会長(89)から昨年、200万円の寄付があり、世界のスズキをアピールした。鈴木姓は愛知県でも1位。復元の会ではメジャーで大活躍した同県出身イチローの父・鈴木宣之さん(76)にも「すでに資料を送付させていただいております」。チチロー、イチローのようなメジャーな鈴木さんらの参加で、支援の輪がさらに広がることを期待している。

鈴木屋敷は21年の完成を目指し、復元後は一般公開を予定している。寄付金額に応じ、紀州漆器製「鈴木証明書」や、鈴木さんには特に御利益のある「鈴木家お守り」、鈴木さん以外には「鈴木サポーター証」などの返礼品が用意されている。【大上悟】

◆名字ランキング 2018年の全国名字ランキング(明治安田生命保険調べ)によると1位佐藤、2位鈴木、3位高橋、4位田中、5位渡辺が推定人口のベスト5だった。鈴木姓は東日本に多い。東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木の首都圏や静岡、愛知でトップだ。佐藤姓は東北に多く、北海道、岩手、宮城、秋田、山形、福島など1道8県でトップ。西日本に多い名字は田中姓、山本姓。田中は大阪、京都、兵庫、福岡、熊本など2府8県で1位で山本は奈良、和歌山、広島、高知など10県で1位となっている。