★10日、フィリピン・マニラのシンクタンク、ストラットベース研究所で講演した米国防総省のエルブリッジ・コルビー政策担当次官。かつては日本に防衛費GDP3%を要求したこともある大国間競争に耐えうる戦略を主導する国防戦略を専門とする官僚だ。祖父は元CIA長官、父の仕事の関係で幼年期を日本で生活している親日家でもある。
★コルビーは講演の中で今年1月、スイスで開催された世界経済フォーラム(ダボス会議)年次総会にて、カナダのマーク・カーニー首相が行った演説「原則と現実 カナダの進む道」で大国主導の国際秩序が崩壊した現実を受け止め、中堅国が結束して自立的な影響力を発揮すべきとした「中堅国(ミドルパワー)構想」について「妄想だ」とし「米国を排除したり、米国に取って代わろうとしたりする無益で実りのない試みであってはならない」「米国は協力相手として信頼できない国になったという主張は、誤っているだけでなく、本質を見失っている」。米国が同盟国に対し国防費の増額など、安全保障上の負担を強めているものの「米国が同盟から手を引こうとしているのではなく、米国の国益と同盟関係を再調整だ」と強くけん制した。確かに大国主義を言っているのは米中ロぐらいで、インドが大国主義に陥るというよりは新しい秩序に関心があることを考えれば大国主義自体が昨今古い価値観になりつつあるし、そもそも米ドナルド・トランプ大統領が世界の警察の放棄を掲げている。
★コルビーは各国に「保護国でなくパートナー」だと説明するが、パートナーと勘違いすればたちまち米国ににらまれるのはどの国も同じ。コルビーはドイツが大幅な国防費の増額を決めたことを例に防衛費の国内総生産(GDP)比3・5%を日本も「見習うべきだ」とした。だがアジア各国はインド、パキスタン、中国、ロシア、北朝鮮が核を持ち、日韓は米国の核の傘を当てにしてきたが、昨今、日本政府幹部の核保有発言が強まることは連動しているのだろう。中堅国では中核をなす位置にいるであろう日本は本来は思案のしどころのはずだ。(K)※敬称略


