★お盆休みのスキを突くというより終戦の日直前を狙った13日のロシア・ウラジーミル・プーチン大統領の電撃北方領土初訪問は日本に大きなショックを与えた。安倍政権時代、プーチン・安倍首脳会談は幾度もセットされたが北方領土返還交渉は難航。2016年の「新しいアプローチ」は歴史的・法的な主張から「8項目の経済協力プラン」の提示や北方四島での共同経済活動の検討を通じて信頼関係を深めた。18年にはシンガポールでの首脳会談で、56年の「日ソ共同宣言」(平和条約締結後に歯舞・色丹の2島を引き渡すと規定)でかなり前進。2島返還+αに期待が膨らむ。

★しかしロシア側は「仮に島を返還した場合、日米安全保障条約に基づき米軍基地が置かれるのではないか」という懸念を強く示し、20年にはロシアの法改正で領土割譲の禁止が決まり事実上頓挫した。安倍政治を踏襲したい首相・高市早苗の外交が跳んだり、はねたりのお粗末なのは周知のことだが、自らの就任早々「台湾有事」発言で中国とは完全に没交渉、意欲を見せた北朝鮮との接触は相手にされず、ロシアとはウクライナ戦争以来の経済制裁で冷え切っている。つまり周辺国とは全くつき合えない状況だ。G7はロシアへの制裁議論の時でも安倍晋三は日ロ交渉が大詰めであることから日本を外して議論するなどの配慮があり、プーチンも北方領土に足を踏み入れなかった。

★北方領土に入る前日の12日、プーチンはウラジオストクを拠点とする太平洋艦隊旗艦で先の中ロ海軍合同演習に参加したのち、日本一周のパトロールを終えたばかりの親衛ミサイル巡洋艦『ワリャーグ』艦上で「私たちは日本を脅かしていない。私たちには日本に対する要求など一切ない。むしろその逆で日本がわが国に対して領土要求を行っている。私たちは日本の多くの高官と建設的な関係を築いていた。その1人が悲劇的な死を遂げられた故安倍晋三首相だ。安倍は日本とロシアを近づけるために、また両国の立場を近づけるために、実に多く努力があった。ロシアには日本やこの地域の他の国々を含むすべての近隣諸国と協力する用意があることを、強調しておきたい」と演説。安倍と一番対話出来たとしながら高市はその任に在らずと中国と歩調を同じくしたことが最大のニュースではないか。(K)※敬称略