東京都は3月31日、新たに78人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。

1日の感染者数としては最多。感染経路不明が全体の6割以上を占めた上、若年層の感染が増加傾向にあることも分かった。

小池百合子都知事は、27日に続いて安倍晋三首相と会談。発令の是非が注目される緊急事態宣言について「国家としての判断が求められている」と踏み込み、首都東京の深刻な状態を踏まえた“早期発令”への期待を、にじませた。

全国の増加幅は初めて200人を超えた。

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東京都が、新たに発表した感染確認者は78人。これまでの最多68人(3月29日)を、10人上回った。前日30日は13人と極端に少なかったが、週末を挟んで検査件数が少なかったため。感染拡大の傾向が依然変わっていないことが、浮き彫りになり、小池知事は「大変懸念する状況。明日どういう数字が出てくるか、心配している」と、述べた。

都が特に懸念するのは、感染経路が不明なケースや、若い世代の感染者が増加傾向にあることだ。78人のうち、感染経路不明は49人で、6割を超える。また、20代から40代で50人を占めた。クラスター(感染者集団)の発生で、感染者が多数出ている永寿総合病院(台東区)との関連は14人。すでに感染していた50代~70代の男女7人の死亡も、明らかになった。

小池氏は若い世代の感染が増えているとした上で、前日に求めた夜間営業の飲食店への入店自粛を、あらためて要請した。若年層は重症化のリスクは比較的低いとされてきたが、症状の軽い人が移動し、重症化するリスクが高い人に感染を広める恐れがあるとして、政府や都では外出の自粛を強く呼びかけている。

小池氏はこの日、首相の要請を受けて会談し、都内の感染状況などを説明。「軽症患者が感染した後の対応策を、国でスムーズに行えるような流れを整えてほしい」とも要請した。

小池氏はかねて「今が、爆発感染を抑止できるギリギリの局面」と危機感を訴え、都市封鎖(ロックダウン)の可能性にも言及。首相との会談で、国の緊急事態宣言についてやりとりしたか問われると、政府の判断だとしながらも「最新の東京の事情を踏まえ、今後どう進めるかしっかり連携する」と指摘。「国家としての判断が、今求められているのではないか」と、発令への期待とも取れる踏み込んだ発言もした。

ネット上で流れる早期発令について「デマ」と否定した首相だが、ぎりぎりの判断を迫られているのは間違いない。【中山知子】