高市早苗首相は22日の参院予算委員会で、昨年の自民党総裁選などで自身の陣営が他候補を中傷する動画の作成、投稿に関わったとする一連の疑惑報道や、暗号資産「サナエトークン」をめぐる野党の質問に直接答えない場面があり、藤川政人委員長に7回にわたり「簡潔に答弁を」などと注意を受けた。

杉尾氏との質疑は2度ストップ。注意を受けながらも、質問とかみ合わない答弁を続ける高市首相に、質問した立憲民主党の杉尾秀哉議員は「国会の答弁はそんな軽いものなのか。自分の責任ではなく全部秘書の責任なんですか」「総理は自分で答弁するつもりがないのか」などと怒りをにじませた。

杉尾氏は「中傷動画をめぐる問題、虚偽答弁の疑い、選挙の公平性とSNS規制、金融犯罪の疑いがあるサナエトークンの問題、政治への信頼と民主主義の根幹が関わる問題で看過できない。これは単なるスキャンダルではありません」と批判。高市首相が中傷動画疑惑に関して6月5日の衆院予算委員会で答弁した内容に誤りがあったとして、同10日の同法務委員会で訂正したことにも触れ「答弁の訂正ですむ問題とお考えか」と指摘した。

高市首相は、法務委員会で訂正答弁を行うに至った経緯を語った上で「はじめに申し上げますが…」として、「私は、30年以上衆院議員を務め、総裁選に3回立候補しましたが、他の候補を中傷したり批判したりせず、ひたすら自分の制作を訴えてきた。これは私の政治家としての矜持(きょうじ)であり誇りでもございます。私の秘書や事務所も私の信条に従って活動してくれている」と、質問とは直接関係ない話を語り始め、「ましてや、そうした他人を誹謗(ひぼう)中傷したりする行為を第三者に依頼して行うことはあり得ない」と主張。「サナエトークン」にも触れ、「(存在を知った)3月2日までその言葉を聞いたこともなく、そのようなものが暗号資産として発行され、取引されることを承認したことはない」として、関与をあらためて否定。いずれも、この日午前に衆院予算委員会で答弁した内容とほぼ同じで、杉尾氏は「聴いてない、聴いてない」と述べ、藤川氏も「答弁をまとめてください」と促した。

高市首相はそれでも答弁をやめず、杉尾氏は「止めて、止めて」と要請。高市首相が話し終えると、持ち時間が25分の杉尾氏は「総理、4分も何を勝手に自分でべらべら話しているのか」と苦言を呈した。高市首相は「秘書に責任を押しつけているのではありません」と、杉尾氏の指摘を否定したが、その後も秘書とのやりとりや、秘書による「陳述書」提出に理解を求める答弁を一方的に続け、藤川氏に「簡潔な答弁を」と求められ続けた。

1度、審議がストップした後、再開すると、杉尾氏は「聞かれてもないことで、長々と時間を使っている」と指摘。高市首相が提出するとしている秘書の「陳述書」に関して、「総理は自分で答弁するつもりがないのか。そして、これだけの証拠、事実関係があるのに自分で答えないのは、あまりにも不誠実ではないか」と批判すると、高市首相は「答弁が二転三転しているというのは当たらない」と反論した。

その上で、国会での答弁修正をめぐり「そちらのみなさまから、本当に複数の週刊誌記事をもとにさまざまなことがらに関して質問をいただいた。その都度、私は(秘書に聴いた上で)誠実に答弁してきたが、それでは伝え聞きになる。毎晩そういうことをしている時間はありません」など、野党の質問に問題があるかのように答える場面も。「その中で、ごく一部が切り取られた。秘書に聞いても、自分の言っていることと違うと、そういう認識になるからそれを答えた。その後に私が確認する機会があったので、誠実に訂正をした」と訴えた。

杉尾氏は、自身の質問に高市首相が直接答えない場面が多いことから、「委員長!委員長!」と自席から叫び、再び審議がストップ。再開後、藤川氏は「この際、総理に申し上げます。時間が限られており、答弁は端的にお願いします」と、高市首相に7度目の指摘をしたが、杉尾氏と高市首相の質疑は、ほとんどかみ合わないままだった。