東京都の小池百合子知事が10日に発表した休業要請施設には、ソープランドやストリップ劇場などが含まれた。新型コロナウイルス感染拡大をめぐり、都が性風俗店の営業に対して明確に言及をしたのは初とみられ、業界には波紋が広がっている。

都が「基本的に休止を要請する」として発表した6施設のうち「遊興施設など」の項目にはナイトクラブなどと並び、ソープランドを意味する「個室付浴場業に係る公衆浴場」のほかストリップ劇場、のぞき劇場(通称のぞき部屋)などが列記された。いずれも風営法で「店舗型性風俗特殊営業」に区分けされる業種。ソープランドは浴槽がある個室内で女性が性的サービスをする業態で、ストリップ劇場は複数の男性客が集まるホールのステージ上で、女性が肌を露出するショーなどを展開する。

小池知事は3月30日の会見でナイトクラブなどの飲食店に関し利用自粛を呼び掛けた。しかし、性風俗店に対する具体的な要請はこれまでなかった。日本最大級のソープランド街、東京・吉原地区などでは今月7日の緊急事態宣言発令後、複数の店が臨時休業を発表した。この日、都内の店に勤務する20代女性は「3月ごろから客足が激減し1日に客がゼロ、いわゆる『お茶』の日が何回もあった。さらに今回、休業要請対象になったことで稼ぎもゼロになる。生活が非常に厳しくなる」と話した。

近年、性風俗店の主流を占める派遣型風俗店、いわゆるデリバリーヘルス(デリヘル)に対し都は今回、直接触れていない。都内のデリヘル店員は「派遣型風俗店は休業しなくてよいのかどうかが分からず、困惑している」としている。