将棋の藤井聡太棋聖・王位(18)が2冠を獲得した第61期王位戦第2~4局の封じ手各1通のチャリティーオークションが、20日午後9時で締め切りとなる。

対戦相手だった木村一基王位(47=肩書は当時)が、九州豪雨被災地への救援金として発案した。14日正午から出品された「ヤフオク!」では、19日午後8時現在、第2局が456万2000円、第3局142万1000円、第4局503万6000円。最低でも軽自動車の新車が買えるくらいの額だ。藤井が初めて行った第2局、木村からタイトルを奪った第4局が特に人気となっている。

開始翌日の15日昼すぎには、第2局が2500万円、第3局が3700万円、第4局は1300万円までハネ上がった。家が一軒、買えるほどだった。

日本将棋連盟によると、「50万円以上の入札希望には必要事項を記入してもらっています。その明記がない場合、金額を取り消しています」という。このため、ひとケタ下がった。

過去、封じ手が対局会場の大盤解説会などで「次の一手」を当てる景品として出されたり、チャリティーに掛けられた例はある。将棋好きなファンにとっては、もらってうれしい物だろう。とはいえ、10万円になれば高い方。「ここまで金額が上がったのは、藤井2冠の存在が大きいのでは」と、同連盟ではみている。収益金は、実費を差し引いた金額を「社会福祉法人 西日本新聞民生事業団」へ寄付される。どこまで金額が上がるか?【赤塚辰浩】

◆封じ手 2日制のタイトル戦(将棋の場合、竜王・名人・王位・王将の各棋戦)で採用される。初日の対局を決められた時刻で中断する場合、手番の人が翌日指す次の手を用紙に記入し、厳封して立会人に預ける手のこと。当然、相手には見せない。これで初日は終わる。通常は2通。1通は立会人、もう1通はホテルの金庫で管理される。翌日の対局再開前に、初日の指し手を再現。封じ手の局面で立会人がハサミで封筒を切って開封し、指し手を明言。封じた棋士がその手を指し、2日目が始まる。