1審で無罪判決を受けながら「罪を償い、人生を終わらせたい」と異例の有罪判決を求めていた川端清勝被告(88)の控訴審判決公判が25日、東京高裁で開かれ、近藤宏子裁判長は1審判決を破棄し、禁錮3年の有罪判決を言い渡した。福祉施設に入所している川端被告は出廷しなかった。

川端被告は2018年1月、乗用車を運転中、意識障害を起こし、女子高校生2人をはねて死傷させたとして過失運転致死傷に問われた。1審前橋地裁は今年3月、意識障害による事故の発生を「予見できたかは合理的な疑いがある」と無罪を言い渡した。川端被告は低血圧や目まいの症状があり、事故前、2日連続して物損事故を起こしていた。

弁護側は1審で無罪を主張したが、10月に開かれた控訴審初公判で新たに選ばれた弁護人は川端被告が「有罪を認める。申し訳ない」と話していることを明かし、「被告は高齢であり、罪を償って人生を終わらせたいと思っている。有罪判決をお願いする」と有罪を求める異例の展開になっていた。近藤裁判長は「低血圧によりたびたび目まいを起こし、医師、家族から運転しないよう注意されていた。意識障害の危険は予見可能だった」として有罪を言い渡した。判決は未決勾留日数340日を算入しており、川端被告は約2年、願い通り刑に服することになる。