ZOZO創業者でスタートトゥデイ社長の前澤友作氏(46)が乗り込み、8日午後4時38分(現地時間同12時38分)にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられたロシアの宇宙船ソユーズMS-20が、約6時間後の同10時49分(同6時49分)国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングに成功した。ISSには12日間、滞在の予定で、同氏によると民間人宇宙飛行士のISS滞在は日本人としては初めてで、世界でも10人目。日本人の商業宇宙飛行は、ソユーズTM-11で宇宙に向かった元TBSの秋山豊寛氏以来31年ぶり2人目だという。

前澤氏は、打ち上げから2分30秒で第1段ロケット、4分53秒後に第2段ロケットが切り離される中、笑顔を見せると、その後は口角を大きく上げて満面の笑みを浮かべた。

そしてソユーズがISSにドッキングのアプローチをする中、操縦士のアレクサンダー・ミシュルキン宇宙飛行士が地球と交信する最中に「うわぁ、すごい…。やばっ。すごい…でかっ」「真下にステーションがいます」という日本語の声が聞こえてきた。前澤氏は、今回の宇宙飛行に、自身の関連会社役員でISS滞在の様子を撮影する平野陽三氏(36)を伴っているが、前澤氏の声とみられる。

前澤氏は、打ち上げ22時間前に収録した同チャンネルのインタビューで「何度も言っているから繰り返しになっちゃうけど、遠足前の小学生みたいな感じ。明日になってガクガク、足が震えて怖いと思うかも知れないけれど、今がワクワクしかない」と笑みを浮かべた。その上で、バイコヌール宇宙基地のスタッフの働きぶりに触れ「寸前の寸前までチェックするプロ魂。ただの旅行じゃなく、みんなの技術が詰まった重要なミッションなんだと思いました」と語った。

バイコヌール宇宙基地には、両親も足を運び打ち上げを見守った。前澤氏は両親と会ったことを明かし「両親に最初、この話をした時、心配していたけど、ケロッとして心配していなかった。心配はよく分かるんで『気を付けてくるね』と」と両親と交わした会話を明かした。

また「いろいろな人に心配をかけ、結果、実現したけれど…挑戦って、好きでやっているし、苦じゃないし、挑戦していないと生きている感じがしない。マグロが泳いでいると死んじゃうのと同じように、挑戦しない人生なんてあり得ない」などと意気込みを口にした。そして「宇宙から地球を見た時、何て思ったのと…カジュアルに行きたい。行ってきます」と口にした。

今回、ISSに向かう目的の1つに、米宇宙ベンチャー「スペースX」と契約し、23年に予定する民間人初の月周回飛行を計画している宇宙プロジェクト「dearMoon」の、案内人として自身が一足先に宇宙を訪れることで、同乗するクルーの期待や安心感を、より高めるという狙いがある。ISSでやりたいことは? と聞かれると「100個、やることを決めていまして、それにトライしたい。YouTubeで世界に配信したい」と答えた。自身のYouTubeチャンネルで公開予定する動画の、100の撮影テーマを世界中から広く募集するプロジェクト「宇宙でやってほしい100のこと」をツイッターなどで展開しており、その取り組みに力を入れる考えを示した。