藤井聡太王将(竜王・王位・叡王・棋聖=20)が初防衛を目指して羽生善治九段(52)の挑戦を受ける、将棋の第72期ALSOK杯王将戦7番勝負第1局が8、9の両日、静岡県掛川市「掛川城二の丸茶室」で行われ、先手の藤井が91手で羽生を下し、先勝した。14期ぶりの王将奪還、通算100期のタイトルを目指す羽生は黒星発進となった。第2局は21日、大阪府高槻市「山水館」で行われる。

異世代のスターがタイトル戦で初めて対戦する「世紀の一戦」。大一番で羽生が研究してきた「秘策」をぶつけた。後手の羽生は「一手損角換わり」の戦型に誘導。序盤の手損が大きいため、完璧に指さないと、一気に形勢を損ねる特殊戦型。これまで積み重ねてきたタイトル通算99期という経験値を生かすための、戦型でもあった。

羽生は持ち味である緩急自在の指し手で、形勢を戻す。お互いがじっくりと時間を使い、中盤まで均衡した状態が続いたが、2日目に入り、藤井が抜け出した。

終局後、羽生は「秘策」について「作戦の1つとして、まだ可能性があるかなと、やってみようと思っていた」と振り返った。

昨年度は勝率は4割にも満たず、棋士人生で初めて負け越した。本年度は一転、7割近い勝率で絶好調だ。多彩な変化球に磨きをかけ、将棋界のレジェンドが復活した。

32歳下の若き王者とタイトル戦で初めて、盤を挟んだ。「深い読みの裏付けがあり、指されているんだなと感じた」。終盤の藤井にリードを許し、もがくシーンもあったが、課題も見つかった。「細かい変化をもう少し、掘り下げて考える必要がある」。

第2局へ向け「気持ちを切り替えて、つぎの対局に集中したい」。第2局は主導権を握りやすい先手番となる。

【第72期ALSOK杯王将戦7番勝負・第2局以降の日程】

◆第2局 1月21・22日 大阪府高槻市「山水館」

◆第3局 1月28・29日 石川県金沢市「金沢東急ホテル」

◆第4局 2月9・10日 東京都立川市「SORANO HOTEL」

◆第5局 2月25・26日 島根県大田市「さんべ荘」

◆第6局 3月11・12日 佐賀県上峰町「大幸園」

◆第7局 3月25・26日 栃木県大田原市「ホテル花月」

◆王将戦 1950年(昭25)に一般棋戦として創設。翌年からタイトル戦に。8大タイトル(竜王・名人・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖)の序列7番目。1次予選、2次予選はトーナメント。2予の勝ち上がり3人と、シード棋士4人の計7人による総当たり戦を例年9月から年内に開催して挑戦者を決める。同星の場合は原則、順位上位の2人によるプレーオフ。2日制の7番勝負は例年1~3月に、全国を転戦する。96年開催の第45期には、羽生善治6冠が谷川浩司王将に4連勝。叡王を除いて、当時あった7大タイトル全制覇を達成した。