秋田県の佐竹敬久知事が先月、じゃこ天など四国の食事を「貧乏くさい」などと酷評し、その後謝罪に追い込まれた騒動で、佐竹知事と「じゃこ天」の地元、愛媛県の中村時広知事が15日、東京・有楽町で行われた秋田と四国4県の合同物産展で顔を合わせた。

佐竹知事はあいさつで反省の言葉を繰り返し「失礼な言葉を発したにもかかわらず、このような催事を開いていただいた。反省しつつ、感謝している。四国の方々の寛大さに対し、恥じいっている」と、陳謝の言葉を繰り返した。その上で「いろんな面で(四国と)コラボしながら課題の多い地方創生に取り組みたい」と述べ、今回の騒動をきっかけにした地域振興への取り組みにも意欲をみせた。

じゃこ天について「貧乏くさいとは全く思いません。ゴルフに行くと必ず食べる。私は酒飲みなので、しょうゆをかけると酒のつまみにいい。この後もたくさん消費します」と宣言。地元の飲食店を訪れた際、頼んでいないのに店主がじゃこ天を出してくれたエピソードを明かし「泣き笑いで食べました」と笑わせた。

じゃこ天以外にも、高知県の特産品「どろめ」を「うまくないやつ」と酷評してたことを地元の記者に突っ込まれると「白魚のおどり食いをイメージしていたがちょっと違った。でも新鮮なものはおいしい。申し訳なく思っている」とこちらも改めて謝罪。じゃこ天だけでなく、徳島のすだちや高知のカツオのたたき、香川のうどんにも触れ、四国の特産品をPRした。

ブラジル出張から帰国して駆けつけたという中村知事は「あまり気にせんでください」と佐竹知事に語りかけ「逆に、お互いの宣伝ができて結果よしと受け止めている。時差ぼけだが、こういう時はじゃこ天入りのきりたんぽ鍋を食べれば疲れが吹っ飛ぶ」と、両県の特産品のコラボメニューを提案。「秋田と四国が結びついて結果、ハッピーでよかった。笑顔で力を合わせていきたい」と話し、今後も秋田と四国の合同物産展開催に意欲を示した。

佐竹知事は10月の講演で「メインディッシュがいいステーキと思って開けたら、じゃこ天です。貧乏くさい」などと発言。批判を受けて謝罪した。謝罪後、じゃこ天の売り上げが増え、秋田県民からの注文も多かったことの感想を問われた佐竹知事は「県民の皆さんにフォローしていただき感謝している」とも語った。

物産展では、秋田と四国4県の特産品を詰め合わせた「なかよしセット」(3500円)が50セット用意されたが、知事らが登場するイベントの開始前に完売した。【中山知子】