元東京地検特捜部副部長で、元衆院議員の若狭勝弁護士が25日、フジテレビ系の情報番組「サン!シャイン」(月~金曜午前8時14分)に出演。北海道北広島市で22年9月、アパートに火をつけて男女2人を死亡させたとして殺人などの罪に問われていた70歳被告の裁判員裁判で、札幌地裁が17日に下した無罪判決について「無罪という判決には違和感を感じました」と語った。
裁判では、被告に刑事責任能力があったかどうかが争点となっていた。検察は論告で「精神疾患の影響はあったものの、最終的な意思決定の自由は残っていた」と指摘し、懲役30年を求刑。弁護側は、「犯行当時、幻覚・妄想などの激しい症状の圧倒的影響により心神喪失状態だった」として無罪を主張していた。札幌地裁は、「心神耗弱とは言えず、心神喪失の疑いが残る。心神喪失者の行為として罪にならない」として無罪とした。
若狭氏は、「心神喪失者だということを積極的に認定して無罪にするならいいですが、心神喪失の疑いがあるということで無罪というのは、疑いというのはどの程度なのか、必ずしも明示されていない」と、不明確さを指摘。「およそ犯罪を犯す人というのは、心理的にちょっと普通じゃない時が犯罪を犯すわけですけど。何でもかんでも疑いということだと、基準があいまいになってしまって、裁判官一人一人のこれまでの感覚で紙一重の判断、こっちは無罪でこっちは有罪という話になりかねない。基準が不明確だという点においてはそうとう違和感があります」と解説した。
若狭氏ば「専門的に見ると、『心神喪失だ』『だから無罪だ』と言ってくれれば、すっと入るんですけど、『心神喪失の疑いが残る』ということで無罪判決だと、精神医療とか精神鑑定の話とは別の司法のあり方としてどうかという問題になる」と指摘した。
杉村太蔵氏から「疑わしきは罰せずという大原則から行くと、僕なんかは納得はするんですけど」と、解説を求められると、若狭氏は「私の感覚だと、心神喪失の話、このフィールドと、普通の疑わしきは罰せず、被告人の利益にとよく言われるのは、その人が犯人かどうか、という時によく使われるんですよ」と説明。「疑わしきは罰せず、被告人の利益にというのはあるべき姿だと思うんですが、今度はこっちの土俵で、心神喪失かどうかというところで疑いが残るという形で無罪にしていくと、結構いろんな多くの事例で、疑いがあるということでどんどんどんどんと心神喪失扱い、無罪というのがしやすくなるという風に思います」と解説した。
若狭氏は「『完全責任能力を有していたとは認められない』(裁判長)と言っている。だからといって、心神喪失の方に全部シフトしていいのか。完全責任能力が不足していた、という範疇で判断することも可能だったんじゃないか」と語った。

