先日、当コラムで遊漁船の安全装備義務化についての違和感を書きました。この件について10日、日本釣りジャーナリスト協議会(以下「ジャナ協」)定例会が開催され、改めて国交省、水産庁の担当者が出席し、質疑応答が行われました。


今回の法改正で遊漁船(釣り船)にとって最大の問題は、「救命いかだ等の設置義務化」です。前回コラムで書いた通り、全ての船の安全化を図る国交省の理想を否定するつもりはありませんが、遊漁船の実態に沿った安全基準とは到底思えません。審議会メンバーを確認しても、そこに対象となる遊漁船関係者はいません。つまり、対象者不在のまま、旅客船という大枠で審議されているのです。


そして今回の定例会の席上で判明したのが、遊漁船(のみの登録船=以下同)は国交省補助金の対象外だということです。


今回の一部改正について、音頭を取っているのは国交省です。国交省が管轄する「海上運送法」が適用される船舶は救命いかだ等設置義務化の際、補助金を受けることができます。ところが、水産庁が管轄する「遊漁船業の適正化に関する法律」の船舶は、補助金の対象外となることが分かりました。


水産庁関係者によれば、現在5億円の予算を申請中とのことですが、この申請はまだ通っていません。つまり、遊漁船に関する補助金は、少なくとも現時点では1円もありません。そして国交省担当者は、遊漁船が国交省管轄予算の補助金を受けられることはないことを明言しました。


遊漁船の中には、例えば花火観覧等で出船のために、旅客登録をしている船も一部あります。旅客登録をしている船および13人以上が乗船可能な船の登録は国交省管轄となり、補助金制度の案内は国交省から届いています。


日刊スポーツ共栄会の船宿に確認すると、遊漁船登録もしくは漁船登録している船にも、「13人以上の船」として国交省から補助金の案内が届き、実際に補助金に関する電話連絡がきていることも確認しましたが、これは大きな矛盾です。


どうやら国交省は登録のある船の船主に、旅客船なのか、遊漁船なのかの実態を確認せず、補助金の案内を送付しているようです。国交省を名乗る団体からの連絡は恐らく補助金事業を委託された業者ですが、「補助金が出ますよ。早くしないと締め切られますよ」と連絡しておきながら、実際には、遊漁船には補助金が出ないのです。


これはずさんとしか言いようがありません。 


ジャナ協として、そして個人としても、決して船の安全性を軽視しているわけではありません。ただただ、「遊漁船の実態に沿った安全基準の再審議」を願います。【川田和博】